今日も俺はわがままお嬢様に振り回される~わがままお嬢様に告白された無自覚イケメンは、癖が強いメンバー(美少女多数)と学園ラブコメを謳歌する~
マッソー!
第一章 舞台の幕は開かれた
第1話 初手告白から始まるラブコメとはこれ如何に
春の香りがほのかに残る五月初旬、その居心地のいいうららかな雰囲気と反比例するかのように俺の胸中はひどく荒んでいた。さながら死地に向かう兵士のように。
俺はもう一度手元にある可愛らしい、いかにも女子といった感じの手紙に綴られている文章とも言えない内容に目を通す。いくら可愛らしい見た目の手紙だからと言って受け取った俺からしてみれば赤紙みたいな物だ。
内容をもう一度読んでみると…
『屋上で待つ。』
なにこの勇ましい文。なんでこんな可愛らしい手紙にこんな物騒な感じで書かれてるの、果たし状か何かかな?おれって知らないうちに誰か怒らせてたっけ?ヤンキーとかに喧嘩売ってたっりしてたっけ?
あれ、俺また何かやっちゃいました?(な〇う系主人公風)
まぁ、冗談はこのくらいにして。
みんなも早くヒロインの描写見たいでしょ?
ヒロインの描写は最後の方になります。
なになに?メタいって?ラブコメなんだからいいだろがいっ!
それとこれが個性ってもんだい!
こんな一人コントみたいなの見たくないよね知ってます。かなしいなぁ。
閑話休題。
俺は呼び出された屋上という名の決戦のバトルフィールドに憂鬱な気分で向かう。
何も知らない非リア充(俺含め)の人たちはこの状況を、
『呼び出された?』
『女か?女なのか!?』
『告白?そんなまさか!』
『オマエコ〇ス』
と思うだろう。最後変なの混じってたけど気にしない。別にさっきクラスメイトの友達から言われたわけじゃないよ?ホントダヨ?
まぁ、多分俺も先月までは同類だったと思うよ。
しかしこの呼び出しにはそんな青春味溢れるものでは断じてない。まじで。
なにより俺はそんな青春味溢れる
そんな俺が言うんだ。これはラブコメみたいなロマンチックなものでは断じてない。この手元にある手紙は地獄への招待状だと。
あぁ、ほんとに行きたくねぇ…。
屋上へと向かうとやはりというか、流石と言うべきか鍵が開いていた。
あっれれ~おっかしいぞ~?(某探偵少年風)
この学校の屋上って解放されていなかったよねー。
最近は自殺防止やらの関係で学校の屋上へは立ち入り禁止にしているところも多いと聞く。本来ならうちの学校もそのはずなのだが。まぁ、流石としか言いようがないよね!マジでうちの学校の先生はなんてことしてくれたんだっ!
けど屋上が禁止にされる…それは青春イベントが失われていくと同義なのではないのだろうか?青春ラブコメの主人公を目指す俺としては、美少女と屋上での昼飯に憧れていただけに屋上への立ち入り禁止は悲しい。
それはさておき。なぜか空いている決戦のバトルフィールド、またの名を屋上への扉を開けると…
―――そこには一面のお花畑が!
嘘です。そんなわけがなかった。
お花畑の変わりに目に飛び込んで来たのは最近は見慣れてきた人物だった。
やはり俺の勘は当たっていたようだ。
ふっ、やはり俺の勘にはずれなんかないぜ。
じゃねぇよ!
ふざけんなよ当たんなよ!外せよ!
「遅かったわね」
入ってきてそうそう屋上のフェンスに視線を向けながら俺に素っ気なくそう言う人物はどうやら黄昏ているようだった。
わかるぞその気持ち!俺もたまにしたくなる!
コンマ一秒の思案を終え、俺もあえて素っ気なく応えてやる。
目には目を、歯には歯をってやつだ。ハンムラビ法典だっけ?まぁいいか。
「うるせぇ、急に呼び出しやがって。これでも急いできたんだからな?」
嘘です。教室でクラスメイトの女子と楽しく談義していました。
主にネコについて。可愛いよなぁネコ。
まぁ俺、犬猫アレルギー持ってるんだけどね。だから実際にはネコと犬とは触れ合えません。
「へぇ…この私に嘘をつくとはいい度胸じゃないの?いつからそんないいご身分になったのかしらねぇ?」
いいご身分って、俺たち同級生じゃん。上も下もなかった筈では?
差別、ダメ絶対。
ていうか、嘘ってバレてるじゃん。この人エスパーか何かでしょうか?それとも俺のストーカーだったりする?そうかそうか…君はそういうやつだったのか…
「あなた今失礼なこと考えているわね、殺されたいのかしら?」
いやいや怖すぎwww
なに、もしかしてこの人頭にヤのつく人だったりするの?
というか、あなたまだこっち向いてないじゃん。あ、こっち向いた。
なんか俺たちって心通じあっていません?えへへ、やだなぁ冗談ですって。
だからそんなおっかない殺気出さないでくださいよ。目がガチなんですって。
話進まないから!まだ
きっとみんなさっきの某少年探偵に引っ張られて犯人みたいな容姿を想像してるから!多分!
「私の容姿?そんなの完璧美少女に決まってるじゃない。世界中のすべての男が私のことを『世界一可愛いお嬢様』と形容するに決まってるじゃない。そう思わない男は男じゃないわよ」
暴論すぎるだろ、やばい。話すだけで胃がキリキリする。
しかしまぁ、可愛いのは本当であるけれども。
「いやいや、すべての男が『世界一可愛いお嬢様』って日本語で形容するわけないじゃないですかー」
「あら、そんなこと思っててもいいのかしら?殺すわよ?あなた今なんでって間抜け面してるけど普通に声に出てたからね、私のせいじゃないわ。」
不覚!この俺、一生の不覚!腹斬って死ぬか!?
「まぁ、そんなどうでもいいことはおいておいてだ『世界一可愛いお嬢様』はこの俺になんのようだよ」
「あなたね…まぁいいわ。こっちも本題を説明してなかったわね。」
そう言って金色に輝く髪を手で靡かせると、サファイアと比喩してもよいような碧眼で、まるで狩りをする鷹のような獰猛な目をして俺を見つめる。
俺はネズミかなにかですか?
『世界一可愛いお嬢様』と自画自賛するに値する整った容姿をしている。そこら辺のモデルなんて比じゃない。まぁヒロインがぶっさいくなことなんてないけどね。
この人が今作のメインヒロインとおもうんだけどさ。ちょっと目が怖い。
俺は清楚系美少女がタイプです!!ユルフワ系美少女も可!
「下僕、一度しか言わないから心して聞くようにしなさい。」
下僕!?あ、そういや常日頃からそう言われてるんだった。忘れてた。
「私と…付き合いなさい…」
先程の下僕に引っ張られすぎてよく聞き取れなかった。
「ごめん、なんっていった?別の事考えてた。」
「死にたいのかしら?」
やっぱ怖えぇ…
「まぁいいわ…もう一度言うわよ…わ、私と付き合いなさい!」
「はにゃ?」
この女、何をいっているんだ?世の中下僕って言いながら告白する人なんているのか?
いや絶対にいないな。きっとこいつが初めてだろう。
しかし、少し恥じらいながら夕焼けをバックにして「付き合ってください」と言う彼女は、認めたくないが、本当に『世界一可愛いお嬢様』のように可愛く、そして美しかった……
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