前のエピソード――№_8 You've got a bad break.（運が悪かったんだよ、それだけ）

　ー　いやぁ、おまんが本物の武志だなんて、思ってもいなかったんだわ、勘弁な。でもすぐ釈放されて良かったわ。まぁしっかし、たまたま同じ日に、200万円のカバンを失った息子が同時に電話掛けてくるなんて、誰も信じられないねっかね。はい、本物の封筒渡すわね。中に200万円入っているさけ、早く会社に戻りない。

　「…母さん、ありがとう。そしてゴメンね。今まで仕事一筋で、母さんのこと、あまり考えていなかったんだ。これからはなるべく時間を取って顔を出すから、何か俺にできることがあったら言って。今回は、ホントに助かったよ」

　ー良いんだわね、そしゃ、（良いんだよ、それじゃあ）お金、早く持って行きないや。今日中に払うんろ。そしゃね（それじゃあね）。

「ありがとう。また時間を作って、必ず帰省するよ」

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　騙される方が悪いんだ。自分の息子が200万円入ったカバンを失くした？俺がそんなヘマする訳ないだろ。会社クビになって無職になっちゃったから、付き合ってる彼女に貢ぐ金が欲しかっただけなんだよ。世の中、やっぱりマネーが全て。安易に人の言うこと信じて、騙される方が悪いんだ。まあ、今回一応帰省したから、実家にはあと５年は帰らなくても良さそうだな…

　母さん、ゴメンな。俺みたいのが息子で。あんたも運が悪かったんだよ。