№_7 I Am your son . Why can't you believe me , Mom ?

 5年振りに見る実家は、今の今まで時間が止まっていたかのように、5年前と同じ様相を呈していた。俺が巣立った農家の建物があり、その隣には自家用野菜の畑が広がっていた。

 実家の敷地は、相も変わらず広く、車を止めるスペースは十分にあった。俺は10年落ちのアウディを急いで止め、降車した。5年ぶりに実家の玄関を開ける。大きな声で叫んだ。


「母さん、ただいま。だよ…今回は迷惑掛けてゴメンね…母さん、いるんだろ?」

 ー タケシかい、お帰り。今封筒持ってくさけ、ちょっと待ってないや(待ってて)…はい、お待たせ、封筒。


 5年ぶり見る母の顔…やっぱ時は経ってるんだな。俺の記憶より、かなり歳をとっている。それより、封筒を受け取らねば。


 ータケシ。この封筒に200万円入ってるさけ、確認してくんない。

「ありがとう母さん…、ちょっと、どこ行くの?…わっ何何、誰?」


 ・・・N県警だ!詐欺容疑でお前を現行犯逮捕する。


「か…母さん、何だよこれは。こっちに来て助けてくれよ。俺だよ。武志だよ」

 ・・・大人しくしろ、お前はもう逮捕されているんだ。署で話聴くからパトカーに乗れや」


「ちょっ、ちょと、なんか勘違いしてるだろ、…母さん呼んでくれよ」


 抵抗むなしく、俺はパトカーに乗せられ、J署に連行された。



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