№_6 Looks like it will go well.(うまくいきそうだ)

 「母さん、オレだけど。ちょっと助けてくれない?ようやく彼女が出来たと思ったら、妊娠しちゃってさ…そう、産ませるわけにはいかないんだけど…うん、それが、80万円くらい掛かるって言われてるんだよ…」


 都内マンションの一室。複数の人間がPCに向かって、インカムで話している。周囲のザワザワ音が相手に聞こえないか、少し心配である。


 「リーダー、この婆さん、いけそうですよ」

 ー キミは確か…200万のカバン紛失事案だったな。金、用意できそうか?


 「はい。キャッシュで用意して待ってるって言われてます。疑ってる気配は感じられません。現在、婆さん自宅付近の『受け子』を自宅に向かわせてます」

 ー よし。良いぞ。今回成功したら、キミを昇格させる。もう「(電話して、言葉巧みにだます役割)」は卒業だ。


「ホントですか?ありがとうございます。何とか上手うまくやってみせます」


 俺の目標は、組織のてっぺんにのぼること。今回200万円ゲットしたら、周りからの評価が一気に上がるであろう。それなりに名が知れた私立大学を卒業してるのに、このような仕事に携わってることに多少疑問を感じたこともあったが、所詮しょせん、世の中は「マネーおかね」だと思う。「マネー」をたくさん蓄えている、または稼げる奴が成功するのだ。逆に言えば、人の言うことを信用して、結局騙される奴は、人生で必ず損をする。…おっと、時間が迫っている。俺は最後の「ダメ押し」電話をするため、PCを操作した。

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