№_2 どうしよう…俺はもう終わりだ

 「さっきまでこの店のトイレに置かれてあったはずなんです。黒いカバンです。何か聞いてませんか?」


 ー 俺はコンビニ店員に何度も確認した。ひょっとすると、現金が入ったカバンを見つけ、隠しておいて、後でバイト同士で山分け…みたいな事を勘ぐったのだ。しかし、まだ20歳に満たないであろう男女の店員は、正直に、忘れ物も落とし物も届いていないことを強調していた。


 俺は考えた。警察に届け出るか、それとも上司や取引先にまず一報を入れるのが先か…どっちだろう…。できれば内々で済ませたい。…そうだ、実家に連絡してみるか。農業と年金暮らしだけど、結構貯蓄してるって言ってた母がいる。もしかすると何とかなるかも知れない。


 ー コンビニ外のベンチに腰掛け、スマホを起動し、「実家」のアドレスをタップした。

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