詐欺師じゃない。本物の俺だよ母さん。信じてくれ…

叙述トリック大好きギャル…満74歳現役女

№_1 母さん、オレだけど。

「あっ母さん…オレだけど…。分かる?」

 ー 「…タケシ…」かね?珍しいねや、おまん(あなた)が電話してくるなんて。金の無心かね?


「無心…ではないけど、お金が必要なのは本当なんだ。実は今朝、仕事で大変なことしてしまって…」


 ー 何だね?

「それが…現金200万円入れたカバンをなくしちゃったんだ、さっき。多分コンビニで」


 ー な、なーしたなぁー?(どうしたの)なんでおまんがそんな大金持ってたんな?

 「取引先で現金決済するために持ち歩いてたんだよ。でも途中でトイレが我慢できなくて、コンビニで用を足したんだ。店を出た後、10分くらいして、カバンをトイレに忘れてきたのに気付いたんだ。急いでコンビニに戻ったら…なかったんだよ。店員に聞いても、忘れ物は届けられていないって…。どうしよう…オレはもう終わりだ」


 ー おまわりさんには届け出たんかね?

 「いや、まだ。こんなことが人に知られたら、オレは本当に終わりなんだよ。だから、まず先に母さんに電話したんだ」


 ー …タケシ、おまんの生年月日と干支えと、あと名前の漢字を言ってみない(言ってごらん)。

 「…西暦1996年11月〇日生まれ、ねずみ。名前は武士の「武」でたけし…、何でこんな事聞くの?」


 ー 悪かったねや。テレビのニュースでよく出てる「何とかサギ」かそ思って確認したんだわ。もし今日中に200万円用意すれば、おまんは助かるんかね?

 「えっ、お金、工面してくれんの? も、もちろん助かるよ…母さんありがとう。ごめん、じゃあちょっと、いったん電話切るね。もう少し経ったら、また連絡する。それじゃ」


 ー 「プーッ、プッー、プッー」


 …バカな男だ。いつもそうやって高齢者をだましてんなーだな。

 さて、駐在さんに電話すっか。

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