ケータイ

「あのぉ済みません。あなたのケータイをちょっとお借りできますでしょうか?自分のケータイを会社に忘れてしまいまして…。公衆電話も見つからないものですから…至急、取引先に連絡しなければならないのです。通話料はお支払いしますので、御協力いただけませんか」


―構いませんよ。使ってください。はい、どうぞ。


① 「ありがとうございます…って携帯用トイレじゃねぇよ」

② 「ありがとうございます…って携帯用灰皿でもねぇよ」

③ 「ありがとうございます…って携帯式扇風機じゃねぇよ」

④ 「ありがとうございます…って携帯用ガス検知器でもねぇよ」

⑤ 「ありがとうございます…って携帯式バッテリーでもねぇよ(ちょっと惜しい)」

⑥ 「ありがとうございます…って携帯型ウォシュレットでもねぇよ(そんなものもあるんだな)」

⑦ 「ありがとうございます…って携帯式Wi-fiじゃねぇよ。それも欲しいけど、ケータイ自体持ってないから使えねんだよ」

⑧ 「ありがとうございます…って携帯用酸素ボンベじゃねぇよ(でもこのままだと必要になるかも)」

⑨ 「ありがとうございます…って「91式携帯地対空誘導きゅうひとしきけいたいちたいくうゆうどうミサイル(いわゆるSAM-2)」じゃねえよ。あんた何でそんな物騒なもん持ってんだよ?いつか捕まるぞ」

⑩ 「ありがとうございます…って「携帯用ダッチワイフじゃないわい!あんたそれをいつ、どうやって使ってんだよ」


「もういいよ!あんたこれだけの物携行してるくせして、何でケータイ電話持ってないんだよ」


―ケータイ電話?スマホなら持ってますけど…


「早くそれ貸せや!」

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