第13話

パーティー編13

――――恋をした。


一目惚れだった。


どうしても、どうしても彼女と一緒になりたかった。



カイラードは王家主催のパーティーでシャルロットと出会った。美しさに、洗練された動きに、そして内に秘めたる勤勉さに、どうしようもなく焦がれた。

恋した相手が侯爵令嬢と知ってこの上なく嬉しかった。

家柄も釣り合いが取れる。

これ以上好条件の令嬢はそうそういないだろう。

実家も納得してくれるはずだ、と。


だがそこには思わぬ難関があった。

シャルロットの父・スウィンナートン侯爵だった。

彼が娘を溺愛しているというのは有名な話だった。

だからこそ、王家が相手ならば快く送り出してくれると思っていたのだが、そう上手くは行かなかった。なんと彼は、思わぬ条件を提示してきたのだ。

――――身分を明かさずにシャルロットの方がカイラードを好きになったら結婚を許す、と。


確かに真面目なシャルロットの事だ、王太子から言い寄られたとあれば断れやしないだろう。娘の幸せを願う父親らしい条件といえばそうだ。

だが、そうなると接点が少なすぎる。

アピールするチャンスも満足に与えられないだろう。


だが、カイラードも引き下がらなかった。

スウィンナートン侯爵に頼み込み、『カイ』として彼女のそばに付けてもらうことに成功したのだった。――護衛騎士として。

武術の心得は勿論幼い頃から叩き込まれている。

無論、誰かに引けを取るような腕前ではないと自負している。

だが、立場上、誰かを守るために剣を振るうことは今まで経験した事がなかった。

いつも最優先に守るべきは自分の命。

だって自分が死んでしまえば国家存亡の危機に陥るのだから。

そうして彼は侯爵邸で新鮮な日々を送った。


そしていつしかシャルロットとカイラードは想いを通わせた。

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