第12話
パーティー編12
相手は自国の王太子、カイラード殿下だと。
シャルロットは絶望した。
勇気を振り絞ったのに、その思いは踏み躙られた。
家族はみんな笑顔で祝福してくれた。
それはそうだ。自分の家紋から未来の王妃が、そして王家に自分達の血が入ることが決定したのだから。
だがシャルロットが喜べるはずがなかった。
それならば、とシャルロットは駆け落ちしようと計画を立てた。
だが同時期に自身の護衛だった想い人は彼女の前から姿を消した。
父から何か聞いたわけではない。だがこれが、自分の想いに対する父からの返答だ、と思った。
それでも、どうしても諦めきれなかったシャルロットはどうにか婚約から逃れようとした。
彼と結ばれることはなくても、せめて誰のものにもなりたくなかった。
だが、そんな願いが聞き届けられるわけがない。
結婚は、貴族にとって避けては通れぬ役目なのだから。
それならば、貴族でなくなればいい。――――いっそ、この想いを抱いたまま死んでしまえば……。
そう考えたシャルロットが目をつけたのがルーカスだった。
カイラードの生誕祭と同時に婚約が発表される。ならば、その前に仕掛けて仕舞えば――――。
ルーカスに想い人がいると言うのは有名な話だった。
長い間、その相手を思い続けている、と言う話も。
そんな彼ならば自分から言い寄られても間違えは起こさないだろう。
そして、彼を選んだのにはもう一つ理由があった。
ほんの少し前、彼の国で一人の令嬢が処刑されたという。
表向きとは少し違う、風の噂で回ってきたその大きな理由の一つに、彼の従兄弟である公爵令嬢の縁談をぶち壊したと言うものがあった。
それなら、彼本人に対する不敬であっても躊躇いなく断罪してくれるだろう。
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