第10話

パーティー編10

「…………え」

「そもそも、貴女は賢い方だ。もし……もし本当にわたしのことが好きだったとしてもこんなふうに捏造を振り撒くなどという行動を取るはずがない。わたしとの関係が悪化するのは目に見えているからな。騒ぎを起こさなくとも他にいくらでもやりようはあったはずだ。……では何故そんな行動に出たのか?それは……」

「……やめて……」

「それはわざとわたしが貴女を断罪するようにしむけたかったからだ。」

「もうやめてって言ってるでしょ!!!?」


シャルロットの懇願に一瞬動きを止めたルーカスだったが、気にせず再び口を開いた。

我慢ができなくなった、シャルロットは思わず、かなきり声をあげてルーカスを何とか止めようと奮闘する。

そんな彼女に、ルーカスは結局一瞥をくれただけで、何か特段反応するわけではなかった。


肩で息をする、シャルロットを見かねたルーカスが一瞬躊躇したが、続きを今度はアリシアが引き継ぎ言葉を繋げる。



「他にも不自然な点があるのです。」

「……えっ……?」

「それは、本日のパーティーが、何のために開催されたのかということについて。主役がまだ会場に現れていないではありませんか。挨拶回りが既にほとんど終了している現在、パーティーが開始してから相当な時間が経っていることは一目瞭然です。にもかかわらず、今日の主役である王子殿下がまだここに現われていない。おかしいと思いませんか?」

「……あ……」

「注目を集める話題であったはずなのに、ここにいる人々が騒ぎ立てるような状況にもならない。その上、彼が認めるほどの完璧なあなたがこんな大騒ぎを起こした。不自然だと思いませんか?…………だから、私たちはひとつの可能性に思い至ったのです。」

「やめて……。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る