第9話
パーティー編9
「そんなっ!じゃあ、私とのお話は何だったのです!?」
だが、そう簡単には納得できない者もいた。
シャルロットだ。
「貴女とわたしが婚約した、そんな事実はない。分かっているだろう?だってそれは貴女が作り上げ……」
そこまで言ってルーカスははたと気がついた。
なんだか目の前のシャルロットの様子がおかしい。
それに何故だろう、何処と無く彼女から違和感を感じる。
少なくとも彼の知るシャルロットはこんな嘘をつくほどの愚か者ではなかったはずだ。
突然言葉を止め、黙り込んでしまったルーカスの様子に焦ったのはシャルロットだ。
だが、下手にこれ以上動くことも出来ずに困るばかりだ。
そんな彼女の様子を見てルーカスは違和感の正体を確信した。
隣にいるアリシアの様子を確認すると、彼女も気がついたようで、シャルロットを見つめたまま動かない。
ルーカスの視線に気がついた彼女はちらっと彼の方を見ると、小さく首を振った――横に。
「………………シャルロット嬢。」
「何ですか!?やっと私の……」
「申し訳ないが、貴女の気持ちには応えられない。」
一瞬、シャルロットの瞳が輝いたが、すぐに悲しげな顔を作り上げる。
「どうして……だって私との婚約の方が早かったじゃないですか!私は貴女と結婚するんだと思って、貴方を愛して……。他の方と婚約なさるなら先に私に……」
「違う、シャルロット嬢、そうじゃない。貴女の気持ちに応えられないと言ったのはそこじゃない。……いや、そこも、かもしれないが。」
ルーカスの言葉に訝しげな表情を浮かべた後、意味を理解したのか、彼女の表情はみるみるうちにこわばっていく。
「そもそも婚約したという話は虚偽なのだが………………シャルロット嬢。貴女は私のことを愛していないだろう?」
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