第7話
パーティー編7
――まだ、震えてる。
きっと、彼女はまだ全快した訳では無かったのだろう。ルーカスはアリシアを自然に見えるように支えていた。
だが、アリシアはシャルロットに向けての刺すような視線を一瞬たりとも和らげはしなかった。
シャルロットもアリシア同様、彼女を睨みつけている。先程から下手な泣き真似をして周囲の同情を誘っていたシャルロットだったが、取り繕うのは辞めたらしい。
「あら?どなたですか?ルーカス様の妹さんかしら?面影がありすものね。初めてお目にかかりますわ。シャルロットと申しますの。『末永く』よろしくお願い致しますわ。」
「まぁ、妹だなんて……。私はアリシアと申しますの。残念ながら彼の妹ではありませんが。シャルロットさんこそ、お名前で呼ぶ程仲が宜しかったのですね?彼から貴女のお話が出てきた事は無かったもので……お恥ずかしながら初めてお名前を伺いましたわ……ねぇ、『ルーカス』?」
視線が音を立てて火花が飛ぶ。
シャルロットとアリシアが同時にルーカスの方を見たのだが。
そこには顔を上気させて周囲に花を撒き散らしそうな程にご機嫌なルーカスがいた。
2人が訝しげに彼をみていると。
「アリシアが……っ!やっと呼び捨てにしてくれた!!」
ガッツポーズでも決めそうな程の勢いである。
ぽかんとしていたアリシアだったが、自分がシャルロットと張り合って公衆の面前で仲を見せつけるように呼び捨てにした事を自覚し、みるみるうちに真っ赤に染まる。
「アリシア、そのまま昔みたいにルカって呼んでくれても……」
「む、無理です……今はこれで精一杯です!」
もうはじめの目的を忘れて慌てふためいていた。
取り残されたシャルロットは真っ赤になって怒りを顕にしているが2人には届いていないようだ。
――いや、ルーカスはわざとやっている。
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