第3話
パーティー編3
その集団は、うら若い女性たちで構成されていた。大体ルーカスと同じくらいの年齢が大半だろうか。
ルーカスの立ち位置からでは、中心になっている者が誰なのかわからず、中の様子は窺い知れなかった。
だがまぁ、今日のパーティーは平穏に終わりそうだ、らくができそうだと思いながら彼はそばにあったシャンパングラスを手に取った。
そうこうしているうちに、そちらも挨拶回りが終わったのであろう、そこそこ親しい同年代の王子数人に捕まり、しばらく話し込んでいた。彼らは皆、婚約者を連れ立って来たはずなのだが、彼女たちもまた、今はあの不思議な集団にいるようで暇を持て余していたらしい。彼らとの交流は楽しく、途中から完全に周囲を忘れて没頭していた。
――いやに視線を感じる。
物言いたげな複数の視線を感じて、現実に引き戻された。
共にいた他の王子たちも感じとったようで、だんだん声が小さくなっていく。
面倒ごとの気配をそれぞれが感じ取ったのか、頑なに誰もそちらを向うとしない。
懸命な判断だろう。
気づかなければ無いのと同じ。
この中の誰かが裏切って意識に入れてしまったら一貫の終わり。
――いいな、俺は何も見てない。何も気付いてない――
互いにそう目で語っていた。
が、そんな彼らの涙ぐましい努力は見事に砕け散った。
「ルーカス様、少しよろしいでしょうか。」
集団の中から少女が話しかけに来たのだ。
めんどくさいとはいえ、無視することは叶わない。
他の王子たちの様子を見ると、心の底から憐れむような視線を向けられた。
逃れられた奴らからの哀れみ……ちょっとムカつく。口には出さないけど。
「……どうかなさいましたか?」
努めて平静を装って笑顔を作る。……だが。
「どうして今日は薄い色の衣装をお召しなのです!?」
少女からのどこか咎めるような追及に思わず顔が引き攣ってしまったのは見逃していただきたい。
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