第2話

パーティー編2

多くの人間があちこち動き回ったからなのか、涼しかった会場内は次第に熱気をもちはじめた。

元々暑いのがあまり得意ではない上に怒涛の勢いで訪れる挨拶を何とかさばいていたルーカスは、ちょっと一息つくためにバルコニーにでた。


会場の喧騒をどこか他人事のように聞き流しながら暑さに火照った頬を冷やす。

彼の紫がかった薄い髪色に映える濃い色の礼装を纏うことの多いルーカスだが、今日は薄い寒色系の礼装を選んできていた。

黙っていてもただでさえ暑いのに、それ以上に衣服が熱を持ってしまうことを嫌ったためだ。

それから、重い装飾品類をストレスに思った彼は、立場上どうしても外せないものを除いて極力少なく減らし、シンプルな装いをしていた。

今日の彼がつけているのは、指輪が二つとカラーチップ、カフスボタン、そしてネクタイピン。

カフスボタンとネクタイぴんは、サファイアをあしらった見た目にも涼しげな仕様だった。

しばらく風に吹かれるまま目を閉じ、疲れを癒していたルーカスだが、いつまでもここにいるわけにもいかないのが現実だ。

嫌々ながらもそんな様子はおくびにも出さず、再びパーティー会場へと足を向けた。


覚悟を決めてパーティー会場へと戻ったルーカスだったが、それ以降はパッタリと面倒な相手に話しかけられることは無かった。

適齢期の娘を連れた外国の要人たちの中で、しつこく迫られるだろうと要注意人物としてマークしていた人物がいたのだが、一向にこちらに訪れる気配は感じられない。

絡まれないのは正直ありがたいのだが、本当にルーカスに用が無いのかと言われると、そういうわけでも無いようで、ちらちらと向けられる視線がそこそこうざったかった。


一組だけならまだしも、会場内の数カ所からこの不自然な視線を感じる。

一体何なんだろうかと首を傾げたルーカスは、会場の一角にできている集団に気がついた。

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