番外編3パーティー編
第1話
パーティー編1
美しく飾り付けられたホールにきらびやかな装いの人々が談笑している。
皆、豪奢ながらも目にうるさくなく、それぞれのセンスが際立っていた。
自国を出てこのパーティーに参加することを決めたルーカスもその例にもれず、美しく装っていた。
自国よりはるかに暖かいこの国では、不慣れな気候に適応するため、いつもよりうすく、やわらかい素材の衣装をまとうことに決めた。
日も落ちて、暑さの名残をみせながらも開放的な会場を吹き抜ける夜風が火照った肌に気持ちが良い。
今月のパーティーはとある国の王子様の生誕祭であった。
丁度成人年齢となるこの王子だが、未だに婚約者が決まったというような話も耳に入っては来なかった。
招待されている客が、全員各国の王侯貴族という事も相まって、今宵のパーティーでその件についての言及もあるのではないかと注目度は高く、招待状を受け取ったものはみなパーティーに参加する事に決めたのだ。
長旅の影響もあり、あまり激しく動く事は避けたいと思っていたルーカスだが、ありがたい事に今日の生誕祭は舞踏会では無かった。
参加者の殆ど全員が大体同じくらいの身分である事からも、格式ばった食事会では行きも詰まるだろうとラフな立食形式が取られていた。
とはいえ、それによって増える手間もある。
絶え間なく訪れる他国の貴族たちからの挨拶を受けつつ、自分も必要な人間へと挨拶に伺う。
――だが、これがものすごく疲れるのだ。
ルーカスは現在、周辺国から注目を浴びる超優良物件。将来的に国王になる事は確定事項であり、本人も至って優秀、人望もあり見目麗しい。
適齢期の娘を連れた他国の貴族たち、王族達の品定めするような目、打算を含んだ目に晒されて疲れ切っていたのだった。
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