第27話
ルーカス視点27
着々と追い詰められていく二人だが、途中からオリバーの様子がおかしくなっていた。
どうやらメアリーに自分が都合よく使われていたことに今更ながら気がついたようだ。
信じられないものを見るような表情と蒼白な顔色は少しだけ同情する。
だがまあ、自業自得だろう。
ただ、アリシアがオリバーへと下した処罰を見るに、きっとメアリーの最期は見せないで事後報告にした方が良いだろう。
メアリーは自分を守るために口先だけで謝罪をして逃れようとするかもしれない。
万が一それにアリシアが同情でもして罪を軽くし、解放してしまったらいつどのような形でこちらに牙を剥いてくるか分からないという恐ろしさがある。
アリシア的には自分達にメアリーの裁量を任せてくれるようだ。
丁度いい。余罪も纏めて引きずり出して裁いてしまおう。
オリバーに関しては侯爵夫妻に任せれば良いだろう。彼らはまともな人だ。
災厄のような二人が去り、ホールには痛い程の静寂が訪れる。話に丁度区切りがついた。アリシアを手に入れる為に仕掛けるなら今だろう。
ここで彼女を手に入れてしまわないと、明日からはきっと、彼女の新たな婚約者探しが始まってしまう。
だから――17年越しの想いを伝えてみよう。
受け入れられなくても何度でも、彼女が信じてくれるまでずっと。
こんなに長い間耐えられたんだ。
きっと大丈夫だから。
しかし、そんな心配も要らなかったようだ。
煮え切らない彼女に、彼女の両親が背を押してくれた。彼ら曰く、ルーカスの気持ちも、アリシアの気持ちも知っていたようだ。まぁ、アリシアの気持ちを知ったのは本当に最近のようだが。
それでも彼女もずっと好きだったと言ってくれた。
何だか拍子抜けしそうな勢いだったが、それならば気にする事は何も無い。
これからは彼女が裏切られた分も
自分を押さえ込んできた長い年月分も
溢れるほどの愛を注いでみせよう――。
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