第17話
ルーカス視点17
「金と権力さえあれば誰でも良いって感じですかね……。いっそ清々しいです……。」
アリシアが顔を引き攣らせたままそう零す。
どうやら納得はして貰えたようだ。
ルーカスはアリシアに疑問を抱かせないようにそのままの勢いで畳み掛けることにした。
「それで、もう一度聞くね。最近何か悩んでることはない?」
「…………隠しても無駄なようですね。ルーカス様がお察しになられている通りです。マーシャル侯爵令息とポーラ男爵令嬢の行動が目に余ります。私の言葉になど、全くもって耳も貸しません。」
やはりアリシアはルーカスが確信を持った上で聞いてきていることに気がついていたようだ。
だが、何とかアリシアから引き出すことに成功した。これなら好きなように動けるし、学園の中での彼らの様子も知ることができる。
上手くいったことにほっと胸を撫で下ろしつつ、ルーカスはアリシアに提案を持ちかける。
「実は、学園内での彼らの様子が知りたいんだ。協力してもらえないかな?その代わり、僕は君の望む通りの事をしよう。勿論危ない事はしなくていい。できる範囲でいいんだ。」
すると、アリシアは大きく頷いた。
「はい。その……実は最近、ポーラ男爵令嬢の動きが変わってきていて、忍ぶ様子が見られないんです。ところ構わず擦り寄っていってまして……そこで、友人に彼らの行動の証拠を残す事を勧められています。そこまでは……と思っていたのですが、それがルーカス様の望みに役立ちませんでしょうか?もし可能であれば、証拠の信憑性を増すためにもルーカス様が映像器具を起動して頂けるとよろしいかと。」
なるほど、彼女の友人は優秀なようだ。アリシアが婚約を破棄するためにも、強力な証拠となるだろう。こちらとしてもありがたい。
「もし良かったら、その友人と合わせて貰えないかな?そのご令嬢の考えも併せて聞きたい。あ、勿論映像器具の件は協力させて貰うよ。」
「ありがとうございます。それでは今日帰宅しましたら直ぐに、学外で彼女と会うための約束を取り付けて参ります。またご連絡致しますね。」
そう言うと、アリシアは小さく微笑んで礼をした後、席を立った。
これで堂々と動ける。
期待以上の成果にルーカスの頬は自然と緩んでいた。
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