第12話
ルーカス視点12
ルーカスが学園に生徒として通っていた頃、ロキは年齢と出身身分、そのどちらも学園に通う為の規定を満たしていなかった。
それにも関わらず、ルーカスが学園にいた間、『ルーカスの護衛』として学園に籍を置いていたのだ。
いくら王太子とはいえ、一個人のわがままで規則を変更させるなどといった好き勝手が出来るほど、学園は緩くはない。
しけし、ロキは実年齢に不釣り合いなほどに状況把握能力に恵まれ、冷静沈着な思考回路と、俊敏に動き回ることが出来る身軽さを持ち合わせていた。
それに加え、ロキはルーカスに気に入られて直接彼に取り立てられており、将来出席するであろうことが約束されたも同然なのだ。
学園側としては、ロキに、ひいてはルーカスに貸しをひとつ作っておくことができる上に、次期国王と、その側近候補の一人に、つまりは国の上層部に強固なパイプを作っておけるのだ。
他の生徒にがいがある訳でもないロキの在籍に少しばかり目をつぶることに決めたのも納得出来よう。
その為、在学中にメアリーの監視を命じられた時には、『たまたま行き先が一緒だった』という体で堂々と仕事を完遂することが可能であったのだが、卒業してからはそうも行かない。
仕方なく彼は、終業時刻まで待ち、そこから何か動きがないかを調べていたのだ。
ロキが話し出すのを今か今かと待ち構えている主を見やって苦笑する。子供のように目を輝かせているのだ。
「マーシャル侯爵の次男とポーラ男爵の娘が二人きりで街中に。親密そうな雰囲気でしたし、学園が終わった後、暫く時間が経ってから二人で一緒に出て来ましたので、出先でたまたま会ったとか言うことは絶対にございません。」
普段ならアリシアと共にツェローラ公爵家へと向かい、そこで訓練やら勉学やらに励む。アリシアと一緒に出て来なかったということは彼女より他の女を優先したと言うことか。
せっかくあの子を手にすることが出来る立場にいるくせに。ずっと想い続けてきた自分は報われなかったのは、ぽっと出のお前がかっさらって行ったからなのに。そのくせ彼女を蔑ろにするのか。
許せない。
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