第6話

ルーカス視点6

14歳になったルーカスは、学園に通っていた。


毎年新入生の中で一番の成績優秀者が務めるという新入生代表スピーチも難なくこなし、年々王太子としての完璧さを増し、学園外のみならず、学園内で、未来を担う若者相手にもその人望を高めて行った。

しかし、そんな出来事の間にも、彼の頭の中は違う事で埋め尽くされていた。



(きっと三年後のスピーチはアリシアがするんだろうなぁ……彼女の事だから絶対上手く熟すだろうけど今から楽しみだなぁ……。)


13、14歳から16、17歳の子供が通う学園では、ギリギリ一年間だけルーカスとアリシアは同じ学び舎で過ごす事になる。

入学してまだ一年も経っていないにも関わらず、ルーカスはもう最後の年を心待ちにしていた。


それは、タイムリミットが近付くのと同義なのだが。


――この男、全く諦めていなかったのである。――


そんな状況ながらも、彼は着々と将来の地盤固めをも進めていた。

この学園には貴族の子弟が多く通っているため、優秀な側近候補を見つけやすい。

入学前から目を付けていた数人と、学園に入学してから見つけた更に数人の行動を見つつ、卒業後に彼らを登用するのかを慎重に見定めている最中であった。


約三年後には、アリシアと共に、その婚約者として選ばれた、マーシャル侯爵子息も入学して来る。

側近候補としてルーカスが挙げている彼の兄である次期侯爵はとても優秀だ。

きっとその弟である彼もまた然りだろう。


アリシアを手に入れる男の事など視界にも入れたくは無いほど憎いのだが、優秀な人材は貴重だ。

手に入らないとはいえ、彼を側近にすれば結婚したあともアリシアに会うことが出来るかもしれない。

だったらまぁ、調べてみる価値はあるかなどという下心もありつつな考えのもと、三年後を楽しみに、ルーカスはまた日常を過ごしていった。

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