第2話

ルーカス視点2

どんどん会える時間が減っていく。

自分は王太子教育に、アリシアは淑女教育に取られる時間が増えていく。

そして、見かける度、顔を合わせる度、どんどん美しく成長するアリシア。


そんな彼女の1番近くにいるのは自分だと信じて疑わなかった。


ルーカスが10歳を過ぎると、水面下で婚約者探しが始まった。一般的に王族は15までには婚約する事が多い。次期国王であれば生まれた時から婚約者がいてもおかしくはなかった。

当然ルーカスはアリシアが一番の候補であると考えていた。しかし、引き合わされる少女達は皆王家に害をなさない可もなく不可もない家の特に親しくも何ともない子達。

それは三年経ってアリシアの婚約者探しが始まってからも変わらなかった。

業を煮やしたルーカスは両親に直談判する事にした。


幼い頃からあまりにも近く居すぎたのが良くなかったのだろうか。

両親は親愛と恋とを履き違えているのだろうとまともに取り合いはしなかった。

そんな事は無いと、確かに彼女を好いているとどれだけ言葉を尽くしても伝わらない。

それならばと公爵夫妻に連絡を取ろうにも彼等は今、自分の領地にいる。手紙を出そうにも、全ての書類に検閲が入る王宮では、両親に止められてしまうだろう。息子の一時の勘違いで一人の女の子の婚期を逃す事になりかねないのだから。


仕方なくルーカスは両親を説得する事に全力を傾ける事にした。笑って流していた彼らも次第に真面目に聞いてくれるようになり、何とかして次の社交シーズンが始まったら見合いを打診しようと認めてくれた。


やっと認められた。

これからもずっと彼女の傍に居られる。


そう信じていた。


だから、社交シーズンが始まる一ヶ月ほど前。

公爵家から王宮に――国王に、弟である公爵からアリシアは侯爵家の次男との婚約が決まったという知らせが届いた時、どん底に突き落とされた様な心地がした。

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