このラブコメは本望じゃない件

「おはよう」

あれからというもの荒川陽葵は毎日朝から学校の日は迎えに来るようになった。何やら『私を思い出させる』だそうだ。


全く俺からしてみればどうでもいいのだがまとわりつかれるとウザイので早いところ思い出して、このストーカー女をどうにかしたい。


2人で登校をしていると、やはり噂が立つ。

「あの二人付き合っているのかな」

(まずいな、これが事実という噂が広まればラブコメ展開が一気になくなってしまう)

さすがにそれは困るため普段は無視している俺も訂正をしに行くことにした。


「なあ、その事なんだが俺とあいつは付き合ってないぞ。向こうが一方的にくっついてきてるだけだ」

「え?そうなの、陽葵さんは付き合ってるて言ってたよ」

(あのクソ女、ふざけんな)

俺は直ぐに陽葵の元へと向かった。

「お前、クラスのやつに俺たちが付き合ってるって言ったのか?」

「うん。だって昔結婚しようて言ってたじゃん」

「え?そんな事を俺は言ったのか…?」

「うん、絶対言った」


それを言われると強く断れない。昔を思い出そうとしてもやはり思い出せない。俺は昔の出来事が陽葵が作り話を作っていることにかけて質問することにした。

「なあ俺には何人兄弟がいるか?」

「一人っ子でしょ」

「うん…正解」


「好きな食べ物は?」

「グラタン」

「正解だ…」

どうやら本当に昔の会っているようだ。


「何、疑ってたの?」

「すまんな」

謝るとすぐに機嫌を直して笑顔に戻った。


1時間目が始まるためすぐに教室に戻る。

(しまった教科書を忘れてしまった)

そう思い隣をみるとこちらを見ながら笑っている。

見せて欲しいならお願いしなさいとばかり言わない顔だ。

僕は本望ではないが教科書がないのは困るため

「お願いします」

「よし」

そういうと机をくっつけてきて、 顔を近くまでもってくる。

女性経験のない身からすると顔がどうであれ緊張する。


「緊張してるの?」

「…してないよ」

俺は頭の中を整理する。

(こいつは俺のタイプじゃない…落ち着け)

心を落ち着かせ授業に取り組むことにした。

ただやっぱりソワソワしてしまう。

(くそ。俺ともあろうものが動揺しているのか)

隣をみると相変わらずニヤニヤしてこちらを見ている。

(こいつ俺で遊びがやって)


『まじでこのラブコメは本望じゃないんだよ!!!!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自分を主人公と思っている男の日常 永峰美海 @Rain677

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ