第4話
そんな時、春人は玖美の主治医を
訪ねた。
[僕、田村玖美さんとお付き合い
している辻春人です。僕では
田村玖美さんの、ドナーには
なれませんか?]
[検査をしてみないと適合するか
どうか何とも言えませんね。]
[じゃあ検査をお願いします!]
[例え出来たとしても君はまだ、
未成年だからご両親の同意書が
必要に、なりますよ。]
[はい。]
家に帰って春人は両親に相談を
した。
[でも、まだ出来るか、どうか
分からないんでしょう?春人
入院したら学校は、どうするの?]
[玖美の為なら俺は留年してでも
医者になるよ!だからお願いします!
この恩は、ちゃんと返しますから!]
[とりあえず先に検査だな!]
[ありがとう、お父さん、お母さん!]
病院で検査をする春人。
検査結果が出た。
[辻春人さん、あなたはドナーとして
適合しますよ!ただリスクも有りますが
病院の方で、ちゃんと対応しますので。]
[本当ですか?先生、ありがとう
ございます!書類を下さい。両親の
同意書を貰って来ます。]
書類を貰って玖美の病室へ行く
春人。
[玖美、玖美!]
[春人?]
弱々しい声だった。
[玖美、移植手術、出来るよ!]
[えっ!ドナー見付かったの?]
[今、目の前に居るよ!]
[春人が?]
[うん!検査したら適合するって!
後は親に同意書を書いて貰ったら
いけるから!玖美もう大丈夫だよ!]
[でも、そんなの春人は学校も
有るし夢も有るのに、それに
おじさん、おばさんに迷惑を
掛けられないよ!]
[何を言ってんだよ!玖美は
どんな事をしても生きなくちゃ
いけないんだよ!]
泣いている玖美。
[春人、ありがとう、好きだよ!]
[うん、待ってろよ!じゃあ書類
とか準備が有るから帰るけど
頑張ってろよ!]
[うん。]
そして、その足で春人は玖美の家に
行った。
[は~い。]
[春人です。]
[春人君?ちょっと待ってね。
どうしたの?]
[おばさん、玖美、移植手術出来るよ!]
[でも、ドナーが...]
[僕がなれるんですよ‼️適合するん
ですよ!]
[嘘!]
[本当です!親の同意書が要るんで
この書類を帰って書いて貰います!]
[でも、ご両親は?]
[大丈夫です!ちゃんと書いて
くれるって言ったんで!]
[春人君、何てお礼を言えば
良いのか!ありがとうございます。
おばさんも後で春人君のご両親に
お礼に行くからね。]
[じゃあ、おばさん準備が出来る迄
玖美を頼みます!]
良子は春人に心から感謝した。
家に帰った春人。
[お父さん、お母さん、どんなに
なれるって!すみませんが、これに
署名してください。]
2人が春人の顔を見て、もう決心が
揺るがない事が分かった。
同意書に署名をした。
それから準備をして手術の日
[玖美、一緒に頑張ろうな!]
[うん、春人好きだよ!]
2人の両親も病院に来ていた。
それぞれ手術室に入る。
[今から全身麻酔をしますので。]
[はい。]
春人は、その後の記憶が麻酔の
為、全く無い。
ただ何度も名前を呼ばれて返事を
したのは覚えて要るが又、眠りに
ついてしまう。
2日目は麻酔も切れて意識が、
しっかりしていた。
病院に来た両親に
[玖美は?]
と聞くと2人は黙ってしまう。
[手術、成功したんだろ?]
[あのな~春人、麻酔をした後に
玖美ちゃん息を引き取ってしまった
んだよ!]
[うそだ~。]
[じゃあ俺、手術は?]
[中止に、なった。]
[何だよ~何でだよ~]
玖美の両親が、お礼に来てくれた。
[せっかく、ドナーになって
くれたのに、ごめんね。]
[玖美は喜んでると思うよ!
春人君。]
[本当にありがとう、立派な
お医者さんになって玖美の様な
人を助けて下さい。]
[玖美も、きっと応援してますから!]
と言って玖美の両親は帰り際に
玖美の日記帳と携帯をくれた。
[これは春人君が持っているのが
1番、良いと思うから。]
そう言って帰って行った。
春人は意識がもうろうとする。
(もっと早く検査してれば!
俺は、何をしてたんだ!)
自分を責める春人。
手術は、しなかったので春人は
退院して家に帰った。
帰って来た息子に掛ける言葉が
無い両親。
[おかえり。]
[ただいま。]
それだけ言って部屋に入る春人。
ベッドに、横たわる。
浮かんで来るのは、春人好きだよ!
と笑う玖美の顔ばかりだった。
何日、そう過ごしただろうか?
春人は日記帳と携帯を手にした。
携帯には、みんなで撮った写メと
毎日していた、ラインが残っていた。
涙がこぼれ落ちる。
日記帳には毎日、枚ページに
《春人、好きだよ!》と書かれて
いた。
そして最後のページは手術の前の日
の日記だった。
《大好きな春人、明日は手術だね、
成功したら春人は、お医者さんに
私は何年掛かっても看護士になるよ!
一緒に病気で苦しむ人を助けようね!
もし……駄目で私が死んでしまっても
春人、泣かないで!
私は毎日、春人に沢山好きだよ!って
言って春人に受け止めて貰ったよ!
最後にはドナーに迄なって私を
助けようと、してくれて私には
勿体無い彼氏です。
立派なお医者さんに、なってね!
春人好きだよ!
ありがとう。》
最後の ページは紙がグシャグシャに
なっていた。
(きっと、これを書きながら玖美は
泣いてたんだな!玖美、大好きだよ!
俺、ちゃんとお医者さんになって
玖美との約束、病気で苦しんでる
人を助けるから!)
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