第3話

翌日、学校で顔を合わす2人。

[おはよう。]

と先に春人が声を掛ける。

[おはよう。]

と玖美が返す。

暫く沈黙が続く。

[玖美、俺、玖美の側に居るから!

だから治療頑張ろう!]

思わず泣いてしまう玖美。

[春人ありがとう、好きだよ!]

玖美は嬉しかった。

春人が居たら、どんな辛い治療も

耐えれる気がした。

高校を卒業すると玖美は治療の為

入院する事になる。

大学にも行けない。

[じゃあ春人、明日から私、入院して

治療に専念するからね!]

[おう!]

[春人は大学に行って頑張って

立派な、お医者さんになってね!]

[早くなって玖美を俺が治すよ!]

[フフフ、春人好きだよ!]

[玖美、俺も好きだよ!]

珍しく春人が返事をした。

そして入院。

入院生活は玖美の想像を絶する

ものだった。

(みんな、こんなに辛い思いしながら

病気と闘っているんだ!私も

負けられない!)

夜は春人とラインを、する。

《玖美、大丈夫か?頑張れよ!》

《春人好きだよ!》

毎日これを繰り返す。

春人は返事が来るとホッとする。

日曜日、春人は玖美の家に行く。

[おじさん、おばさん僕を玖美に

会わせて貰えませんか?]

[玖美が今の姿を春人君には

見られたく無いんだって。

女の子だからね。]

[でも、どんなに変わっても

玖美は玖美です!会いたいです!]

[一度、玖美に言ってみるね?]

[お願いします!それで、まだ

ドナーは見付かりませんか?]

[まだ、見付から無い!もう

見付から無いかもね?]

と泣き出す玖美の母良子。

[おい、母さん、しっかりしろ!

今、俺達がしっかりしないと

玖美は、どうするんだ!]

[ごめんなさい、お父さん。]

[じゃあ僕は、これで失礼します。]

肩を落とし帰る春人。

(何で玖美が、あんな病気に

なるんだよ!玖美は何も悪い事

してないじゃ無いか!)

ある日、担当の医師に呼ばれる

玖美の両親。

[抗がん剤治療が、あまり効果が

見られません、進行の方も早い

ですね。]

[先生、もう玖美は助からないん

ですか!]

[厳しいです。]

[後どれ位、生きられるんですか?]

[最善を尽くしますが1年は無理

でしょう。]

[あ~]

と泣きながら抱き合う玖美の両親。

何も知らない玖美は治る事を信じて

治療をしていた。

そんな、ある日、お母さんが

可愛いいウィッグとコスメを買って

来てくれた。

[はい、玖美これ。]

[あっ、これ?]

[女の子だから病院でも、オシャレ

しないとね!]

[うん。]

と言って早速ウィッグを付けて

眉毛を書く。

[どう?]

[可愛いいよ!]

[フフフ。]

と笑う玖美。

[あっ、そうだ玖美、春人君が

玖美に会いに来たいって言ってるよ!]

[えっ!あ~ウィッグが有るから

いけるね!ありがとう、お母さん!]

[じゃあ春人君に言うよ!]

[うん。]

(春人に会える~久しぶりだな?)

日曜日

朝からウィッグを付けて、おめかしを

する玖美。

コンコン

[は~い。]

[俺、春人。]

[どうぞ!]

[久しぶりだな~]

照れる2人。

[どう?体調は?]

[相変わらずだね、早く春人ドクター

に診て貰わないと駄目だわ!]

[ハハハハ、俺?]

[うん!春人好きだよ!]

健気に笑う玖美が愛おしい春人。

[玖美?]

[うん?]

[何も!]

[何それ~]

そして又笑う2人。

[玖美、それウィッグ?]

[うん。]

[化粧してる?]

[うん、お母さんが買って来て

くれて、きっと春人が来るから

気を効かせてくれたんだね!]

[今日、家のおやじと、おふくろも

来てるけど良い?]

[えっ!どうして?]

[玖美に会って貰いたくて!]

[でも……]

[言わなくて、いい!]

そして春人の両親がやって来た。

[初めまして玖美ちゃん春人の

父です。]

[母です。]

[初めまして、田村玖美です。]

[辛いだろうけど頑張るんだよ!]

[そうよ!負けちゃ駄目よ!]

そう励ましてくれた。

すると玖美の両親も、やって来た。

親同士、挨拶を交わしている。

それを玖美と春人は笑顔で

眺めている。

春人が

[そうだ!全員揃ったんだから

写メ撮ろうよ!せっかくだから

なぁ?玖美?]

[うん、撮りたい、撮りたい!]

そして看護士さんに無理を言って

撮って貰った。

全員と玖美と春人で。

[嬉しい~これ毎日見れる!]

[良かったね、玖美!]

[春人のお父さん、お母さん

ありがとうございます!

負けない様に頑張ります!]

[頑張って!じゃあ長居すると

身体に障るから帰るね!

又、来るからね。]

と帰って行った。

[じゃあ母さん、俺達も帰ろう!]

普段、気の利かない、お父さんが

春人と2人にしてくれた。

[春人、この写メ本当に嬉しい!

春人のお父さん、お母さん

やっぱり優しい人だな?]

[何で、やっぱり?]

[だって春人が優しいから

好きだよ!]

[ハハハハ、その好きは健在

だな!安心するよ!]

[でしょう?ラインにも入れてるから

もう、どれ位言ったかな?

数えとけば良かった!]

[まだ、これから沢山言うんだから

数えきれないよ!]

[そっか~]

[じゃあ後は、ゆっくりしとけよ!

疲れが出るぞ!]

[うん、好きだよ!]

[ハハハ、じゃあな!]

みんなが帰ると、やっぱり身体が

キツかった。

その日を境に玖美は弱って行った。

医師から両親は

[少し厳しい状態ですね。]

と告げられた。

両親は目の前が真っ暗に、なった。

玖美の病室に行くと玖美は

しんどそうに寝ていた。

両親は現実をつきつけられる。




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