第2話 男性の現在

 俺は、母親の体内にいる時から記憶を持っている。

 

 きっと急いで出てきたから、

 記憶を消す作業を抜かしてしまったのだろう。


(きちんと男性らしく育てるかな?)


 心配ではあるが、幸せにしてくれる母親を選んだのだ。


 大丈夫と言いきかせ、生をえる時をじっと待つ。


 名づけられたのは佐々木隆太ささき りゅうた


 可愛いものが好きなのだが、まだまだ表には出せない。


(幼少期はかわいくもかっこよくもない……これからだよね)

 男性だって内面からの輝きでどうにでもなるはず。


(つらいこともあるけれど、どうにでもなるわ。演技は得意な方だもの)


 ヒーローものを見なければならないし、

 

 新聞紙で作った剣を振り回したり、

 男の子として泣いてはいけないといわれる。


 けれど、男性として目標もできた。

 

「俺は将来、車を運転するんだ」

 新車で1番高い奴を。


 ☆☆

 何ともなく、転生の記憶があることも知られずに17歳まできた。


(だいぶ、男性が板についてきたよな)

 

 まぁ、顔は中の上に成長できたと思う。


 心配事といえば若干低身長なくらいだ。

 身長は平均いくかどうかだ。

 今は171センチ。もう少し伸びてほしいところだ。


 これなら女の子を満足させられるかもしれない。

 ヒール履かれるとちょっと辛い。


 友人がアイドルにならないかと悪ふざけで案件を持ってきた。

「正気か、そんなの通るわけないだろ」

「やってみようぜ」


「モデルは無理でも、俳優とか声優なら何とかなるかもだぜ」

「それなりにモテるわけだし」


 これまでの17年間、それなりにモテてきた。


 それは事実だ。


「告白されたり、体を触らせてきたり、下着をプレゼントされたり」


「うらやまし」


「そのあと、訴えられかけたがな。セクハラされたって。クラス中に広めやがって」


「うわー」

 でも考えてみよう。


 自分のしたいことは趣味でもできる。


 前世の記憶を生かして、今度は男性として活動するのもいいかもしれない。

 

 男になったらしたいことリストを書いてしまうあたり、

 まだ女子だったころの習性が残っているのかもしれない。


 ひとつ目は筋肉隆々のゴリマッチョになること。

 これは筋力トレーニングをしている。何とか腹筋はそれなりに割れてきている。


 ふたつ目は力仕事すること。

 ごちゃごちゃ考えるのは苦手だ。あまり頭はよくないようだ。

 みっつ目は運転免許系制覇することだ。


 色々な重機の資格までできるものまでとりたいなって思う。

 とりあえず、フォークリフトを運転したい。かっこいいから。

 

 しかしこれらは専門的なものではない。

 やろうと思えば何歳からでもなんとかなる。

 

 資格を取りながら、やりたいことを全部やればいい。


「欲張るもの人生必要だよな」


 やはり男児たるもの、自分のなりたい自分にコミットすることも大切だと思う。

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