男子シングル選手(3)~その他主要選手~

ディエゴ・アルメンサ(コロンビア・アメリカ在住)

SHにのみ登場。

正確には、SOE冒頭でのトリノ五輪フリーのシーンでもわずかに登場し、名前を出さず姿のみ描写される。

SH本編では20歳→21歳。インⅢでは14歳と19歳の時の姿が描写され、本編終盤での本人の述懐で、それ以前の少年時代が語られる。

中南米の生んだ史上初のトップスケーター。ヒスパニック系で浅黒い肌、黒い髪と目の端正な容姿と環に似たすらりとした体形。

コロンビアのスラム街で母子二人で暮らす境遇から出発し、8歳の時に母親がメキシコのスケートリンクでの仕事を得たことで移住。

本人はサッカー選手志望だったが、遊びでリンクで滑っているところをリンク所属の男性コーチに見いだされスケートを習い始める。

とはいえそれは金目当ての強要によるもので、コーチはまずディエゴの母親と恋人関係になりそこからディエゴに圧力をかける狡猾な男だった。

3年後にアメリカに移住しテキサスのリンクに入会するが、リンク所属生徒の少年たちから陰湿ないじめをうける。

加害者の彼らが同じテキサスの期待の星だったレオ・ウィリスを尊敬していたことから、レオもディエゴの憎しみの対象となる。

それは数年後、世界ジュニアで初体面したレオから気遣いの言葉をかけられたときにも変わらなかった。

それとは別に数年後、トラビス・パークスがプロ野球デビューしたときには、自分でも理由がわからないほどの強烈な憧れと思慕の感情を抱くが、間もなく彼とレオの交友関係を知り、さらにレオへの嫉妬心を募らせることになる。

トリノ五輪シーズンには開き直る思いで、自分の容姿を利用する選曲をして躍進を遂げレオも上回るが、それでメダル獲得の期待がアメリカ国内で増し、結果的にプレッシャーで五輪では4位で終わる。

元コーチはディエゴの母親と結婚して娘をもうけ、それでいてディエゴの稼ぎに寄生する状態であることもディエゴの苦しみの種になっている。

母親に愛されたい願望、レオへの嫉妬心と対抗心、トラビスへの憧憬が競技のモチベーションとなっていて、モノローグとはいえ「スケートが好きではない」と言い切ったスケーターズ世界唯一の人物。

コロンビア出身のため国内に競争相手がおらず国民からの注目と期待圧力もないが、成長してからはそれも孤独感を深める一因になっている。

世界選手権銀メダルと銅メダル獲得、GPF優勝、四大陸三連覇と立派な成績であるものの常にレオとの比較で判断してないものねだりを繰り返し、反面環は格下として見下しているため、08年度世界選手権では順位で抜かれ激怒する。

その他人間の好き嫌いが激しい、人種差別的な扱いには強く反発するものの肌の色を自分でも気にし、また世話になったリンクを恩知らずな態度で去るなど性格にも問題なしとは言えない。

高槇哲の台頭にも動揺し、自分に情熱や音楽性や際立った個性が欠けていることを認識し苦悩する。

ある意味スケーターズ世界で最も人間臭い人物と言えるが演技を評価する目は確かで、レオと環の演技性の違いも正確に認識し、さらには環の演技のメッセージ性にも感じるところがあったようではあるがそれによってすぐさま立ち直るとまではいっていない。


ペール・ハルコネン(フィンランド)

SHにのみ登場。

SOEでは冒頭トリノ五輪フリーのシーンで直接の描写はないものの、五輪フリーでバシキロフ以外で唯一、ソルトレイクに続きトリノでも最終グループ入りしたことから加藤雅之に「レオ・ウィリスよりも選手として立派なのかもしれない」と評される。

バシキロフと同年齢で、SH本編では26歳→27歳。童顔で栗色の髪と目。

ソルトレイク五輪4位、トリノ五輪5位。世界選手権では04年度4位、05年度6位、06年度5位と安定した成績を残してきた実力者。

フィンランドのエースであるものの、同い年にバシキロフがいたために長年その後塵を拝してきた。しかしバシキロフが引退したのちも競技を続け、〇七年度欧州選手権優勝、ワールド銀メダルを獲得。

二十代後半に入っても四回転を跳ぶ一方、ベテランらしくジャンプ以外でも進化を続ける。ジャンプミスをした際もザヤックルールに違反することなくリカバリを決めるなど判断力も優れている。

しかしその演技性は優美で繊細という反面、バシキロフやレオのような力強さに欠けると評される。

08年度は欧州を連覇、ワールドではレオの超高得点に動揺するも堅実にまとめ、環をかわして3位に入り銅メダルを獲得した。


ジョバンニ・モラヴィア(イタリア)

SHにのみ登場。

イタリアのエースとして活躍し、世界選手権では04年度5位、05年度銅メダル、06年度4位、07年度4位。

五輪でもソルトレイク9位、トリノ6位と安定した成績を残してきた実力者。

08年度世界選手権ではフリーでレオの直後の滑走だったために、彼の超高得点と会場の空気に動揺し、フリーでは9位で総合7位になってしまう。

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