第61話
紙谷家の一件は良い方に進んだな。
クラスメイトの紙谷昌との友人関係を築けたし。
「よお、おはよう、武」
「おはよう、昌」
俺は平和な日常に戻った。
後始末については全部対魔省庁へ任せて。
とりあえず、危ない物はこっちで全部回収して処分した。
特に姫子ちゃん関連の資料は念入りに、それと少しだけ使うのでコピーした。コピーも近いうちに処分するが。
姫子ちゃんと昌にだけは資料の内容を確認すると許可をもらい。後日、内容を報告する。
徳守大臣や米沢さんはある程度信頼できるとは言え、割とトンデモナイ能力を持つ姫子ちゃんと特殊な植物系の妖魔のコロ。利用価値は高い。てか、俺の持ってるエリクサーの原料の木の実の一つを食わせてみたらかなり体力を消費したがコロはその実を作り出すことに成功。品質は悪いが、十分エリクサーの素材として使えるレベルなので、自分やっておいて頬を盛大に引きつらせてしまった。
「ああ、それと資料だが、大分読み進めたぞ」
「そうか、本当に助かるよ。姫子は不用意に病院に行けないからな」
資料の内容の確認している理由の一つは姫子ちゃんと妖魔の健康に関わるからだ。
姫子ちゃんとコロは病院などで治療を受けるには難しいからな。
一応、姫子ちゃんのような肉体人向けの専門の病院。使い魔の妖魔や魔物用の病院などもあるが、直ぐに使える訳ではない。
いざと言う時は俺が医者代わりになる必要がある。緊急時はエリクサーをぶっかけるか、飲ませれば大丈夫だろう。
だが、無制限に回復アイテムで治していたら、昌や姫子ちゃんも怪我や病気をしても大丈夫だろう。と徐々に油断と慢心をするようになってしまう。
だから、普段から気を付けろと言い続けないとな。
俺達みたいに慢心して痛い目を見るのは本当に辛いからな。
俺達の場合は大勢の人達の命が失われる結果になったからなぁ。
「ま、この話は今度に」
「ああ、それにしても、未だに信じられないな。魔法とかな」
「そうだな。普通はそうだ」
俺達が話していると「おはようございます」と聞こえてきたので視線を向けると縁眼さんが教室に入って来た。
「……それと武と縁眼さんとそう言う関係だって言うのも、未だに信じられないな」
黒髪の大和撫子な美少女の縁眼さんを見て、昌は小声で呟く。
俺はそれに苦笑いで答えておく。
昌には俺の事も教えることにした。
今後のことを考えると教えるかどうか悩んだが、昌には俺が謎の忍者でトンデモナイ力を持っていると教えていた方が良いと判断した。
こういう時の直感は馬鹿に出来ないからな。
それと昌はハーレムに近い状況だと聞いて「マジで!?」とかなり驚いていた。
寧ろ、俺があの忍者だと言うことよりも驚いていた。
今まで魔法などと関わりのなかったのに、昌は思った以上に順応していた。
「ま、そのうち慣れるさ」
「そうだな。慣れていかないと駄目だよな」
昌は姫子ちゃんと生きていくために色々と勉強していくと決めた。
俺としても応援している。
あっちの世界の友人達は全員が死んだからな、よけいにな。
ま、色々と片付けたし、対魔省庁と対魔師局が頑張っているからな。
俺が住んでいる関東圏は大分スッキリするだろう。
せっかくの秋になるんだ。
皆で色々な所へ遊びに行こうかな。
☆
「とんでもないところね。ここは」
俺の渡した魔道具の転移ゲートをくぐって、俺の秘密基地にやってきたアンネは、多数のドローンや戦闘車両が置かれている格納庫を見渡して頬を引きつらせた。
「転移ゲートだけでも驚きましたが。この格納庫や置かれている物は……」
「お爺様、まだ大人しい方かと」
「そうか」
アレックス先生とアンネの侍女のアメリアさんが何か話をしていているが、ドローンを整備していた俺にはちょっと聞き取れなかった。
「あ、来たか。アンネ。アメリアさん、アレックス先生」
作業服姿から、俺は直ぐに私服に着替える。それと汚れた手を魔法で浄化する。
「相変わらず、無駄に洗礼された魔法技能ね」
「そうか? 着替えの魔法とかって、アンネ達も使えるよな?」
「出来なくはありませんが。武様のようにスプーン一杯程度の魔力量で、瞬時に連続で使用できる方はそうは居ませんよ」
「そうね。初めて見た時は思わず二度見してしまったもの」
そう言う物か? まあ、言われてみれば。これが出来るようになったのって、邪神と戦い始めてだいぶたってからだったな。
つまり、技量的には魔王を倒すくらいの魔力操作の技量が必要ってことか。
うん、誰かに言われないと気が付かなかったな。
「それで、今日は何の用だ? アンネ」
「私が依頼した、ドローンは?」
「ああ、アレか。そういえば、弦巻家の一件の報告の時にほぼ完成したって教えたな」
少し前に、アンネから頼まれてアンネの護衛仕様のドローンを作った。
「今整備していたのが頼んでいたドローン?」
「そうだ。でも、良かったのか? 忍者型って」
そう、アンネに頼まれたドローンの形は、忍者のような姿をしたドローンだった。
「いいの。これがあるだけで、意味があるから」
「どういう意味だ?」
「謎の忍者と強い繋がりがあるってことを証明したいだけよ」
なんだか、面倒そうなことが起こってる? と思ったが、アンネが俺の感がを察したのか。
「大丈夫よ。面倒なことにはならないから」
と言われてしまった。
まあ、いいや。とりあえず、アンネから頼まれている他のドローンの説明をしようかな。
俺はインベントリから、作っている途中のいくつかの試作品のドローンも取り出して、アンネ達に説明することにした。
まあ、直感だけど。しばらくは平和そうだな。
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