第22話 風の勇者

 ほんと騒がしい。


 私は城全体が見渡せるくらいの高度で、この騒動を観察していた。


 せっかく気持ちの良い晴れの日に、ゆったり空に浮かびながらくつろいでたのに。


 ミディアの部屋に、いきなり光の球体がぶつかってからは、一変した。騒がしいったらありゃしない。


「ほんと、ちょっとムカつくんだけどなぁ~」


 どうも、知らない奴がこの城に侵入して、こうなったみたい。ライラの部屋にぶっ飛ばされた人……。


「もしかして、新しい教育者?」


 そうだとしたら、余計に腹が立つ。


「ん?」

 

 城の廊下についてる窓から、必死に走る人が見えた。あいつ、何して、あっ。


 ライラが、青ざめた顔をして、見知らぬ人に抱えられている。


「ふ~ん……、どういう訳がしらないけど」


 言い度胸してるじゃない。


「勇者の私達に手を出したらどうなるか、教えて、あ・げ・る♡」


 私は、風に乗って急降下する。


 必死に走ってる、見知らぬ奴を捕まえるためにね。


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