第11話 旅立ち

「異世界転生、よろしくお願いします」

「む、村上様っ! ふふっ」


 アリーチェさんの瞳が見開き、満面の笑みを俺におくってくれる。あははっ、女神様に萌えてしまいそうだ。


ビイー‼‼ ビイー‼‼ ビイイイー‼‼


「「いひゃあああ⁉」」


 またも警報音に2人して驚く。


『強制送還まで残り1分です。繰り返します。強制送還まで残り1分です』


「「ええええええ⁉」」


アリーチェさんと俺の全身が水色に強く光輝く。


や、やばい⁉ 時間が⁉ 俺、転生できんの⁉


「村上様‼ 転生いきます‼」

「はい⁉」


アリーチェさんが何やら早口で詠唱を始めると、俺の周りを包んでいる水色の光が、金色に変わる。俺を取り囲んでいる光の球体の光度が増していく。すると一瞬、だけど閃光のように、球体が眩しい光を放った。


「転生完了‼ ムラカミ様、今生き返りました‼」

「うそ⁉」

「あと特別な力を授けました‼」

「まじで⁉」

「はい!! た、たぶん!!」

「いやちょっと、最後のたぶんってなに!?」

「い、急いでたので!! でも、たぶん大丈夫です!!」

「いやいやいや!? ちょっと待って下さい!!」

「転送作業に移ります!!」

「無視⁉ あと転送ってなに⁉」


 アリーチェさんがそういうと、杖の先についている白い球体が輝きをます。


『強制送還まで残り10秒です。繰り返します。強制送還まで残り10秒です』


 割り込んでくるアナウンス。


 転送がなんのことか言ってる場合じゃない⁉ 間に合うのか⁉


「ム、ムラカミ様‼」

「はい⁉」

「彼女達をよろしくお願いします‼」


 その言葉に、俺は全力で応える。


「任せてください‼」


 アリーチェさんは嬉しそうに一瞬だけ笑ってくれた。そして、大きく叫んだ。 


「転送魔法、発動ッ!!」


 俺は強い光に包まれた。そして、紅蓮色の髪の少女が飛び去った方向に高速でぶっ飛んでいった。

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