第6話 ここから動けなくなるのは困るんですが・・・
そういったわけで、ダンジョンマスターになりました。
さっきのピリっとした痛みのとき、【ダンジョンマスターの心得(モンスター用)】が自分の中にインストールされた模様。
「ダンジョンを育てよ、ダンジョンを大きくするために己の人生すべてを捧げよ」と、俺の心の内から強く大きい声が響く。
中空タッチパネル的な『システムコンソール』を呼び出す。
DP(ダンジョンポイント)を確認。10,210DP、らしい。
10,000DPで2フロア目が増築できるけど、これやっちゃったらフロア作るだけで整備ができないよね。
内なる魂の声、ダンジョンの人のアドバイスでは強く推してくるんだけど。
素直なモンスターならその声のまま従って、そのまま潰れるんだろうな。
広間を『セーフエリア』に設定する。
セーフエリアとセットになっている『回復の泉』を設置。
洞窟になにか行うのは、ぶっちゃけこれだけでいい。
セーフエリアの内壁に沿ってぐるり1周、幅と深さ10cmの溝を掘る。
入り口近くに、大きめ1m立方の穴を用意。
掃除用にスライムを1匹、DPで購入召喚。
作った穴にガラクタを突っ込む。
スライムさんに「片付けておいて」とお願いしておく。
『トイレ』、作ったほうがいいよね。
と思うんだけど、いちばん小さい部屋が10m×10m、ざっくり30畳、標準的な学校の教室よりも広いんだよ。
幅1mの通路を奥行き5mほど掘って、そこから直角に2mほど進める。
突き当たりに50cmほどの穴を掘り、泉からの排水を呼び込んで地下でゴミ捨て用の穴とつなげる。
これでスライムさんも仕事できるはず。
日本人的には尻拭き紙とか用意したいけど、そのへんの異世界事情はわからないなあ。
泉(セーフエリア設定)3,000DP、部屋の改装500DP、スライム1匹10DP。
残り6,700DP。毎日夜明けにダンジョン規模に応じてポイントが入る。今は1層1部屋の最小構成だから毎日100DPということらしい。
ざっくり、時計で言う12時方向を出入り口とすると『回復の泉』が4~5時の文字盤のあたり。
ゴミ捨て穴が11時、トイレ用通路が9時方向ってところの位置関係。
『回復の泉』は3段構成。いちばん上から水が溢れ、2段目に流れ込む。
一段目は俺の目線ぐらいある高さで、ここは汚さないで欲しいところ。
飲み水は2段目に流れ込む滝から汲んでほしい。
2段目は野菜洗ったりとか綺麗に使いたい。
そこから3段目に流れこみ、ここは洗濯とか好きに使えばいいかなと。
『システムコンソール』でダンジョンをいじった結果判ったが、この標高10mのぽっこり山自体がダンジョンコア様が作った入り口エリアというものだった。
ここ、いつからあったんだろうか。
奴隷商人みたいなのの仮置き場になってたということはそいつらには知られているということだし、近々顔を合わすことになるんだろうな。
まあなんとかなりそうだけど。
狩りに行きたいけど、自分に何か捕まえられるビジョンが全く見えない。
『魔石』持ってる『魔物』なら彼我の実力差関係なく向かってくるとかいう『設定』とか無いかな。知らんけど。
ドヤ顔のお犬様を頼りにするのもなんだかなあ。
今日も何か持って帰ってきてくれそうだけど。
頼りきりになるのもなんだかなあ。
洞窟を出て森に入り、ぽっこり山の裏側に行く。
三日月湖エリアまで行くと、突然なんだか不安になる。
これはあれか。自分のダンジョンから離れられないというやつか?
いかにも、でかい魚とかカエルとかワニとかいそうな、いい雰囲気のある湖だけど、捕まえる方法が思いつかない。困ったもんだ。
向かってくる『魔物』とかいればいいなと、湖を長斧で叩きつけるようにばしゃばしゃとかき回す。
湖の対岸にいた鹿っぽいのが慌てて逃げたぐらいで何も起こりませんでした。
生活力無いなあ、日本人。
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