第5話 スライム達が自分達のことを養分と呼ぶ(悲)
「へっへっへっ………うおん!うおん!
(マスター!これから宜しくお願いします!!)」
「おお!こちらこそ宜しくな!!」
今召喚したモンスターの鳴き声がなんて言ってるのかが分かる。
それに俺は返事をすると頭を出してくるのでわしゃわしゃと撫でてやった。
「くぅーん………へっへっへっ。」
可愛い。実家で飼っていた柴犬のゴンタを思い出すな。アイツも俺が家に帰ってくるとこうやって撫でろってやって来てたな。
ブルブル!ブルブル!
「………え?召喚したんだからステータス確認しろって?」
スライムに言われるままに召喚したコボルトを確認する。
【コボルト】ランク1
比較的何処にでもいるモンスター。山や草原のダンジョンに多く出没する。
知能は高く、人間の5~8才程度の思考能力がある。
レベル 1
スキル
・身体強化
・爪強化
「おお!スキル2つもあるじゃん!!すげえ!」
スライム曰く、生け贄召喚して出てきたモンスターは生け贄したモンスターによってスキルを獲得する場合があるらしい。
原初のスライムの場合はモンスターの祖となるモンスターなので生け贄召喚した場合はランク1のモンスターなら何が出ても可笑しくないらしく、スキルも必ず付くというぶっ壊れスライムだと自慢されながら言われた。
「ランク0のモンスターとかそれ以上のランクのモンスターは召喚されないのか??」
ブルブル、ブルブル!!
俺がそう言うとスライム達が一斉に震え出す。
「え、生け贄召喚はそうゆうものだって??逆にランクの高いモンスターを生け贄に選んでもランク1のモンスターしか召喚できないのか?」
ブルブル!!
俺の場合はそうらしい。
別の人が【生け贄召喚】のスキルを持ってる場合はその人によって能力は多少変わる。なので人によっては10体生け贄にして高ランクのモンスターが召喚されても可笑しくない場合もある。
俺の場合は最初に【原初のスライム】ありきでスキルが構築されてるから生け贄召喚のスキルも二体の原初のスライムを選んで生け贄召喚するしかないんだとスライム達が教えてくれた。
俺の感覚ではそんなこと分からなかったがスライム先生がそう言うならそうなんだろう。
試しにスライム三体を選んで生け贄召喚しようとしたが反応はしなかった。
「まぁそれはそれでぶっ壊れスキルだよな?スライム達がいれば無限にモンスターが増えるってことだろ?」
1日に5回までは生け贄召喚出来るんだし、五体もモンスターがテイム出来るなんて凄すぎる。
ランク1のモンスターだって数知れない種類のモンスターがいる。
ドラゴンや鬼なんかの強いモンスターはランク5からとか高ランクにしかいないモンスターもいたがそれでも凄いスキルだ。
ブルブル!ブルブル!ブルブル!!
「え?出来るだろうけど直ぐにモンスターを沢山増やすのは良くない?」
スライム達が震えながら俺にアドバイスをくれる。
原初のスライムは倒されても次の日には復活するが他のモンスターはそうならない。………まあ当たり前だよな。
だからますば召喚したコボルトを集中して強くした方が良い。
それに食費も嵩むから、俺に金銭的余裕が出来てから数を増やす方が良いと………なんかそこまで心配させてしまいすみません。
「だから『『僕たちをコボルトが倒して養分にしてレベルをあげて。』』………って自分で養分なんて言うんじゃないよ………」
ブルブル震え続けるスライム達。
『養分!養分!養分!』
ずっと養分って伝えてくるなよ。
分かったから。なんか涙が出てくるよ。
「………それじゃあコボルトは7体のスライムを倒して貰って良いか?」
「うおん!(わかりました!)」
コボルトはそう鳴くと尻尾をパタパタさせながらスライム達を自分の糧にしていく。
話の途中ではコボルトも不安そうな顔をしてたが、スライムの一体となにやらスキンシップをとっていたら暫くすると尻尾をパタパタしながら乗り気になっていた。
コボルトは手から爪を出すとその爪にはオーラの様な物が纏っている。
どうやら【爪強化】のスキルを使ったようだ。
「ガゥア!ガウ!(とりゃー!とー!)」
その爪を使ってバッタバッタと残り一体を残して倒してくコボルト。
ごめんよ………スライム達………
「うおん!!へっへっへ!!!(終わりました!!)」
「え、う、うん!良くやったぞ!」
頭を撫でてやる俺。スライムを一体残したのは全部いなくなるとアドバイスを貰うスライムがいなくなるからだ。
それにこのスライムは他のスライムと違い【何か違う】
姿形は一緒の筈なのに、スキルも一緒の筈なのに他のスライムとこの目の前の残した一体を見分けることは簡単だと思う。
何故か昔から知ってるようなへんな感覚だ。何処かで会ったことは………ある訳ないよな?チュートリアルダンジョンに行く機会もなかったし、今までにスライムと出会うことも早々なかった。んー………不思議だ。
目の前のスライムについて考えてるとスライムがブルブルと震えて俺に訴えてきた。
「え?これでコボルトもレベル8になったからここから近い【青の森のダンジョン】なら簡単に攻略できるって?」
スライムが言うにはこの家の近くにある【青の森のダンジョン】はスライムしかいないらしく、出てくるモンスターも最初は原初のスライムに、毛が生えたようなスライムしか出ないらしい。
ダンジョンは三階層で三階層の最初の分かれ道で真っ直ぐ進むと行き止まりだが、その壁は脆く壊すことが出来るので中に隠し宝箱があるのを教えてくれた。
「なんで隠し宝箱のことまで知ってんだよ………はい。そうですね。理解しました。」
スライムに聞いても『知ってるから!!』としか伝わってこない。
まぁそうゆうもんなんだと思って俺は納得した。
スライムが再度ブルブルと震えて俺に訴えかけてくる。
「ん?青の森に行ったら砂とか水を転移すれば良いのか?」
ブルブルと震えるスライム。
異空間の中は何もないのでダンジョンの資源を使って異空間を住みやすい環境にしたいと言われた。
「送ってくれれば勝手に整備するってどうやって………ああ、そうゆうことね。了承します。」
異空間にドバドバッと送っても汚くなるだけだろうと思ったが異空間の環境整備には俺以外にも管理人?みたいなのを設定することができた。
それをスライムにするとピョンピョンと跳び跳ねるスライム。可愛い………じゃなかった。だからなんでそんなことまで知ってんだよってとこね。
スライム先生が言うには、異空間に送られてきた物やモンスターによって異空間内の能力も上がってくから色々な物を送ってほしいと言われた。
はい。わかりました。任せてください。
それじゃあスライム先生も急かしてくるし、コボルトも行きたがってるからダンジョンに行くかー。
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