第4話 異空間の中で


ピピピ、ピピピピ、ピピピピビ、ピピっ






「ふああ……….全然寝れんかった。」





アラームの音で起きる俺まだ朝の9時だけど今日もやることが沢山あるので重たいからだをゆっくりと起こしていく。流石に朝の五時過ぎまで起きてたらそりゃあ眠いわな。











あのあとダンジョンからでた後はチュートリアルダンジョンを終了した旨を伝えて受付のお姉さんには


【異空間転移】を手に入れたと伝えた。



チュートリアルダンジョンを終了すると必ずどんなスキルを手に入れたのかを聞かれる。



パーフェクトテイムなんていう激レアなスキルを正直に伝えるとどうなるか分からないしそれならまだ異空間転移のスキルの方が面倒ごとは少なそうと言うことからそう報告した。



「おめでとうございます!!スキルを活用した職業が希望でしたらスキル登録致しますが如何になさいますか?」



「いや、スキル登録は時間のあるときに自分でしに行くので大丈夫です。」



「承知しました。それでは今後とも何かある際には宜しくお願いします。」







そんな簡単なやり取りをしてチュートリアルダンジョンの場所から家へと帰っていった。



取得したスキルは特別なスキルだと国に申請して登録することが出来る。凄いスキルだと国のお抱えの仕事を融通してもらったり国が守ってくれたりと良いことは多いが、俺の場合は異空間転移以外にもヤバいスキルが殆どだ。



別に凄いスキルじゃなくても転移系のスキルや、ステータス看破等々職業に有利なスキルはあるから登録してる人もいるが俺は絶対にしない。


スキルを登録すると自分の持っているスキルが全てバレてしまうのは問題になるのは分かりきっているし、これだけ凄いスキルがあればダンジョンを攻略してるだけでも充分な稼ぎになるのは間違いない。



ダンジョンを攻略するだけなら【チュートリアルダンジョン】を攻略した証明書があれば入れるので問題はない。



ベットから起きた俺は六畳の小さなアパートの部屋を見渡す。



「俺もガンガン稼いでもっと良いところに住むぞ!!」



高校を卒業してからはずっとバイトしていた居酒屋でフリーターをしている。



社員になる可能性もあったが、俺の働いてるところの社員を見て働きたいと思う馬鹿はいない。



何が悲しくて休みも殆ど無くて忙しくて安月給な所で社員やるかよ。




「昨日、今日、明日と休みは貰ってるから早く準備するか。」




昨日も今日もチュートリアルダンジョンに行くからと休みを貰っている。店長には小言を言われたが、何とか休みをもぎ取ることに成功していた。



「………そういえば小松さんも冒険者の登録してるんだよな?」




小松さんとは俺の働いてる居酒屋の副店長、通称コマさん。


というかコマさんからダンジョンのことを聞いてダンジョン冒険者になろうと決心した。


そして休みをもぎ取れたのもコマさんが店長に色々と言ってくれたからだ。




仕事が始まったらダンジョンのことでも聞いてみるかな?




「よし、準備出来た!さっそく………異空間


転移!!」





そう言うと俺は部屋から一瞬で消える。













「………ここが異空間の中か。思ったよりも快適そうだな。」





所持したスキルはどんな能力なのかが始めから知っていたかのように理解している。


俺の手に入れた【異空間転移】は専用の異空間を作り出しその異空間に物の出し入れが出来る能力だ。


スキルを使用して成長していくと【時間調整】【環境調整】等も今よりも細かく設定出来るらしいが出来るようになると自然と分かるらしい。今の所何もいじってないがその内色々調べようと思う。

広くもなるらしいが、見渡す限りサッカーコート程度の広さがあるのでこれでも充分な気がする。




「お!スライム達!!元気だったか!?」





俺が異空間の中に入るとチュートリアルダンジョンでテイムしたスライム達がブルブル震えながら跳びはねてやってきた。


チュートリアルダンジョンでは一切動かなかったからそういう物だと思ってたがどうやら違うらしい。



「俺が来て喜んでるようだな。やっぱり取得してきて良かったよな【意志疎通】のスキル。」





そしてパーフェクトテイムから変換した4つ目のスキルは【意志疎通】だ。



2つ目と3つ目のスキルは勝手にスキルが変わってしまったが、4つ目からはこんなスキルが良いと思いながらテイムしたら【意志疎通】のスキルが手に入った。



【意志疎通】テイム専用

対象の考えてること感情が分かるようになる。離れた場所でも意思の疎通が可能。





というスキルを手に入れた。オークションとかで【意志疎通系】のスキルの宝玉も売っていたが確か100万は最低した筈だしテイム限定だとしても、離れた場所でも意志疎通出来るなら俺が寝てるときや居酒屋でバイトしててもモンスターを動かせるだろうから良いスキルを手に入れたぜ!







「………でも喜んでる所悪いがお前らはダンジョンには連れてけないよな。」


俺の考えてることもスライム達には分かるのか早く一緒にダンジョンへと行きたいという気持ちが伝わってくる。




準備してる時に軽くニュースを見ると俺の行ったチュートリアルダンジョンのモンスターが変わっていたという話題があった。今までに違う県のチュートリアルダンジョンのモンスターが変わったこともあるらしいからソコまで大きな問題にはなってないが、出来ればこの原初のスライムは人目に見せないでおきたい。


ステータスとか調べられてこのスライムが原初のスライムなんていうモンスターだと知られれば騒ぎになるのは間違いないしな。




「ごめんな。せっかくテイムしたのにお前らをダンジョンに連れていけなくて………」




ブルブル震えるスライム達。




少し残念そうにしているが、ダンジョン探索以外にも役立てることが出来るのを知っているので落ち込んでないようだ。



「………というか本当に良いのか?生け贄召喚しても??」





昨日寝る前に1度俺はこの異空間の中に来ている。テイムしたスライム達に会いたかったというのが1番だが、異空間の中が気になったし二つ目に変化したスキル、【生け贄召喚】についてどうしようか悩んだからだ。





「………ふむ。生け贄召喚しても次の日にはスライム達が復活するし問題はないと?」




ブルブル震えるスライム達。口がないので喋れないが考えてることは分かる。マジで意志疎通スキル取ってて良かった!




昨日の時点でスライム達と交流をした俺は取得したスキルについても原初のスライム達が教えてくれた。それに5つ目から取得したスキルは4つ目に取得した意志疎通のスキルのおかげでスライム達が『こんなスキルがあったほうが良い。』と教えてくれたので無駄もなく良いスキルを取得することに成功した。




【生け贄召喚】テイム専用

2体のテイムしているモンスターを生け贄にして新しくモンスターを召喚する。生け贄にしたモンスターによって召喚されるモンスターは変化する。

召喚したモンスターはテイムした状態になる。




これもぶっ壊れスキルだ。初めて聞いたぞこんなスキル。



この【生け贄召喚】のスキルを取った瞬間は絶望した。なんてたってせっかくテイムしたモンスターを2体犠牲にして1体にしちゃうんだからそりゃ嫌だよ。………とも思ったが原初のスライムの特性からして生け贄召喚したとしても次の日には復活するらしい。


復活場所もこの異空間に設定した?らしく、痛みも感じないのでドンドンしてくれと言われた。



それから原初のスライム達には効率的な原初のスライムの活用方法?をレクチャーされて昨日は気がつけば朝の5時になっていた。


色々なことを知っている原初のスライム達。俺の取得したスキルについても色々と教えてくれたがなぜそんなことまで知ってるのか聞いても『知っているから。』とだけ言われ話は終わってしまった。





ブルブル、ブルブル、ブルブル!!



「分かったよ!試せば良いんだろ!?試せば!?」




スライム達が急かしてくるので俺は目の前の2体のスライムを指定して【生け贄召喚】を発動した。




「おお!すげえな………生け贄召喚ってこうなるんだ。」


選んだ2体以外のスライムはその場から離れるとその二体の地面には魔方陣が現れた。



その魔方陣に飲み込まれたスライム達。魔方陣は二つが重なり1つになっていく。


1つになった魔方陣の上からは新しいモンスターが現れた。




「これが新しい俺のモンスター………」





生け贄召喚が終わると離れていたスライム達が戻ってくる。



ブルブル震えてる新しい仲間が、出来たことに喜んでいた。



「スライム同士を生け贄にしたからスライムが召喚されると思ったのに………」






「へっへっへっうおん!!」





現れたモンスターは5才児くらいの大きさで二足歩行をしている。



顔は子犬のような柴犬の顔をした【コボルト】というモンスターが召喚された。





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