第2話 エラーからのやり直し
「くそー!!やっちまったー!!」
気が緩んでいた!まさか最弱モンスターの劣化番をテイムしてしまうなんて………くそ、最強のモンスターをテイムして早々とセミリタイアの計画がおじゃんになった。
「まじでアホだ………そういえば昔から大事な所で失敗すること沢山あったな………あぁマジでバカ………」
地面に手を置いて意気消沈しているアホな俺。涙まで出てきた。視界が歪んでよく見えない。
ハイパー究極大当たりなスキルも手に入れたのにそれを下手なことで無くしてしまい最弱以上の最弱のモンスターをテイムしてしまう………もう人生終わった。
あ、もう一度人生やりなおそう!そうすればまた神様が俺に激レアなスキルを与えてくれるんじゃないか?よし!………とか言ってる場合でもないな………現実逃避もよくないよな………。
「………嘆いても仕方ないな!元気だして頑張ってこう!!」
【空間関与系】のスキルとかそれ以上のレベルでレアなスキルを手に入れて人生捲れるチャンスだったのに………
………と言っても冒険者の中には【大声強化】とか【デコピン強化】なんていう微妙なスキルを貰った奴の話も聞いたことがある。
それと比べれば最弱以上の最弱と言われたモンスターでもテイム出来ただけマシだよな?
それに 【パーフェクトテイム】はテイムしたモンスターに自分の知っているテイム系のスキルの活用が出来る能力だ。
その能力だけでもいくらでもやりようはある。というかそれだけでも大当たりなスキルだ。
スライムテイマーが最強だった時期とか最弱中の最弱と思っていたスライムが実はドラゴンにも勝ちましたなんて話もある。
「あれ、思ったよりもいけそうだな?」
テイム系の能力にも弱いモンスターでも活用できるスキルは沢山あった筈だ。
テイムしたモンスターと一時的に融合してパワーアップ!!とかもあったけど、スライムと融合したところでか?
でも探せば面白くて強い能力は沢山あるよな!!
「帰ったら色々調べてみよう!楽しくなってきたぞ!!」
そもそも俺はスキルよりも【レベル】の恩恵が最優先で手に入れたくてチュートリアルダンジョンに来たようなもんだしね!
元々【才能】が無いからレベルで身体能力をブースとしたいのが第一だったし!!
さっきまでは打って変わって気分が良くなってきた。さっさと帰って【チュートリアルスライム】の活用方法調べなきゃな!!
「………というか何でまた閉まった門の前にいるんだ?」
元気を取り戻したので目の前を見てみるとチュートリアルダンジョンに来たときにあった大きな門の前にいた。
「確かチュートリアルダンジョンクリアしたら外まで転移するんじゃなかったか??」
チュートリアルモンスターを倒すとダンジョン外へと自動で転移されるって言われたし、チュートリアルダンジョンの体験談でもそう言っていた。
それなのにどうして俺は最初みたいな状態で門の目の前に立っているんだ??
「………まさかまたやり直しとかじゃないよな?」
そう思って門に触ってみると頭の中に声が流れてきた。
【エラーが発生しました。大変申し訳ありませんが佐藤 響様には再度チュートリアルダンジョンに挑んで頂きます。レベルとスキルを再度譲渡致しますので中のモンスターを討伐してください。】
頭の中のメッセージが流れ終わると門がまた開いた。
「え?どういうこと?エラー?」
どういうことだ?チュートリアルダンジョンでエラーって初めて聞いたぞ!?
というかスキルをまたくれるってことはまた【パーフェクトテイム】のスキルが使えるのか??
そう思って念じてみると再度貰ったスキルが同じ【パーフェクトテイム】だということが分かった。
「………スキルがやり直して使えるのは最高に嬉しいけどそうしたらさっきテイムしたチュートリアルスライムはどうなった?」
確かにチュートリアルスライムをテイムした【感覚】があった。それにスキルをまた譲渡される前からチュートリアルスライムとテイムしてる感覚は残っている。
なのにチュートリアルスライムはどこに行ったんだ??
せっかく俺の【仲間になってくれたのに】
「………そういうことか。」
俺の今持ってるスキルを念じてみると【パーフェクトテイム】以外にもう1つのスキルがあった。
【パーフェクトテイム】1回限定
一生に1度だけどんなモンスターもテイム可能。テイムが完了すると自身の知っているテイム系のスキルにこのスキルは変化する。
【異空間転移】
テイムしたモンスターや物を収納できる。異空間内の時間の調整、環境は設定可能。
「異空間転移ってそう言えば雑誌で見たことあったな。」
確か外国のダンジョン冒険者で有名な人の持っていたスキルだ。
その人は自分のスキルの異空間の中に牧場を作ったとかで大金持ちになった人じゃなかったか?
時間や環境も自由自在に変えれるから農作物とかもすぐ出来たりするって書いてあったような気がする。
「パーフェクトテイムがスキル変化してまた大当たりなスキルになったぞ………」
スキルが複数あるのも特別珍しいことではない。ダンジョンには【スキルの宝玉】というスキルを獲得できるアイテムも見つかるし、日本でもスキルの宝玉のおかげでスキルを10個や20個持ってる上位ランカーの冒険者もいる。
………まあそんなランカーは歴史に名を残す有名人だったりもするが
ただチュートリアルダンジョンでスキルを【2つ】も獲得した話や【エラー】が発生した話なんて聞いたことがない。
いったいどうなってるんだ?
「………そういえばテイムしたモンスターは【ステータス】の確認が出来るんだったよな。」
テイムしたモンスターは簡易的だかステータスを確認することが出来るのを思い出して確認してみた。
【原初のスライム】 ランク0
スライムの原初と言われるモンスター。チュートリアルダンジョンにしか出現せず、倒すと必ずレベルを1あげてくれる。
倒したとしても24時間経つと復活する。
世界では10匹しか存在しない。
テイム不可。
「………………どこから突っ込んで良いか分からないぞ。」
【原初のスライム】って名前はまだ良い。スライムの1番目に現れたスライムってことだろ?納得納得。チュートリアルスライムをテイムしたって言ったのに名前が変わってるの何でかな?………とか思うけどそういう物なんだと受け取った。
ランク0ってなに?モンスターのランクって1からじゃないの?原初だからゼロ?ってこと?
テイム不可なのに俺テイムしちゃってるけど………え、大丈夫?きっとエラーになったのそれが原因だよね?!
というか………
「さっきの場所に行けばチュートリアルスライム………じゃなくてまた原初のスライムがいるのかな?」
色々考えた結果パーフェクトテイムのスキルがぶっ壊れスキルだということが分かった。
そして原初のスライムもぶっ壊れスライムだということも分かった。
ただ言えることは………
「原初のスライムがでるならまたテイムしたら同じことが何度も繰り返されるんじゃないか??」
そう思った俺は門の中をくぐり足早に原初のスライムがいた場所へと向かっていった。
「いたぞ。」
足早にダンジョンを進んでいくとお目当てのモンスターを発見した。
最初見つけたように膝下位の塊がブルブル震えてる。
原初のスライムに触ると俺は「テイム。」と発言した。
「テイム出来た………
………また戻ったな。」
2体目の原初のスライムをテイムすると最初のように大きな門の前まで一瞬で移動していた。
あ、これ勝ち確だわ。
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