12

(隠れたってバレるに決まってるだろ!)


 君は国道を全速力で走っていく。


「待てぇ!」


 後ろからは、お巡りさんの叫び声。


 国道を走る車がビュンビュン横を通り過ぎていく。


 風が強い。

 しかも向かい風だ。


 君は、ただもう、何も考えず足を速く出す事だけを考えていた。

 もはや、何とか逃げ切って、家に戻り、アユミに誤解を解かなければならない。

 がっしり掴んだカバンを見る。


(ここで捕まればこれもバレてしまうんだ!)


 君は、ただもう、全力で走っていく。


 しかし、だんだんと息が切れてきた。

 そんなに、運動系でない君の体力が切れ始める。


 後ろを振り返ると、お巡りさんは、変わらないスピードで走ってきていた。

 そして、君との距離が縮まっている事にも気づく。


(やばい!)


 君は力を振り絞り、スピードを上げ走り始めた。


 しかし、さすがに警察官、体力は鍛えて相当あったらしい。

 どんどん君は持久力で押し負けていく。


 逃走が始まって20分ごろ、ついに君は後ろからタックルされ押し倒されてしまった。


 その衝撃で、手提げカバンが落ち、中身が飛び出す。

 君の、あまりに魅力的なエロ本は車道へと落ち、あっという間に車に何度も引かれていく。

 そして、ボロボロになりながら、風でどこかへ飛ばされていった。


 君はというと、お巡りさんに連行され、家まで戻ってくる。


 父と母が、何事かと外に出てきた。

 ご近所さん達も集まってくる。

 その中にアユミとその母と姉も一緒に居た。


 お巡りさんは、君のポケットからパンティーを取り出し、アユミ達一家に見せ、

「盗まれた物は、これで間違いありませんか?」

「ああっ、そうです、それです、盗まれたのは」

 アユミの姉が答えた。


(え? 何を言ってるんだ?)


「そうでしたか、犯人は隣に住むこの子でした」


 お巡りさんが君を見る。

 アユミ達一家も君を見た。


(何を言ってるんだ?)


「あんた、何をやってんの。そんなもん盗むなんてっ」

 母が君を責める。


「すいませんでした、皆さん」

 父がアユミ達一家に頭を下げる。


「いや、それは盗んだんじゃ……」


 その時、アユミが泣き出した。

 そして走り去っていく。


「ここではなんですから、家の中で話しましょう」


 お巡りさんが、回りに集まってきた人だかりを見て言った。

 何が何だかわからない君は、自宅へとお巡りさんに捕まえられながら入って行く。


 この後、事情を聴かれた。


 君は何度も、あれは盗んだものじゃない、と弁解するも信じてもらえず、下着ドロとして決定づけられる。


 まだ中学生だし、今回は大目に見てあげます、とお巡りさんから言われ、父と母から叱られた後、 君は何も言わず俯いて、ゆっくりと居間を横切り階段を登り、自分の部屋に入り、ドアを閉め、手首を切った。


   The Bad End.

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