第15話 試験通過


「試験が終了しました。直ちに、試験開始場所に集合してください。繰り返します。試験が終了━━」


 あ、終わった。


『はー、まさかドラゴンを使ってモンスタートレインして、亡骸から討伐証明部位だけ剥ぎ取るなんてな。天使もびっくりな作戦だぜ。そんな屍肉喰らい《スカベンジャー》みたいなこと悪魔でもしねーぞ?』


 ふふっ、スカベンジャーか。元天使に言われると説得力が違うな。


『あ、ってか試験の時も思ったが俺は元天使じゃなくて、堕天使だ。そこんとこ間違えるなよ? 元天使と堕天使とでは雲泥の差がある』


「はいはい、元天使様」


 それはそうと、問題は無事試験を通過しているかどうかだ。俺はスタートダッシュを失敗しまくったから、いくらドラゴンの助けを借りたと言っても追いつかないかもしれない。今回の通過枠はどれくらないのだろうか?


「では試験通過者を発表致します。一人目は━━━」


 ❇︎


『なんとか通過することができたな。まさかあんなことをするとは思わなかったぜ。意外とお前頭は回るんだな』


 試験通過を聞いて俺たちは、明日の第二実技試験に備えて宿に泊まっていた。それにしても呼ばれたのが最後から二番目だったからかなりギリギリのクリアだったのだろうな。部位提出もギリギリだったし。


「まあ、元ギルド職員だからな。買取の経験がこんな形で生きてくるとは思わなかった」


『確かに! 物凄いスピードでドラゴンが食い散らかしたモンスターから素材を拾ってたよな』


 まあ、毎日何十、時には百近く見ているからな。ほとんどのモンスターの解剖図が俺の頭には叩き込まれてしまっている。


「ふう、だがこれで漸く一段落がついたな。お前が来てから走っては戦い、走っては戦い、だったからやっと落ち着ける。そして、」


『そして?』


「お前には聞かなければならないことが山のようにある」


『げ』


「そもそもお前は何者なんだ? そして何でこの人間界に堕ちてきたんだ? ってか、なんで俺の中に入ってきた。そしてお前を狙っている組織は何なんだ? 王様たちと何か関係があるのか?」


『おいおい一気に聞きすぎだろ。流石に堕天使といえど一気には答えられないぞ。まずは一つ目からだな。何者ってそりゃ俺は堕天」


 バンッ!


 ルシファーが俺の質問に答え始めたその瞬間、聞き馴染みの無い、だが直近で何度か聞いた音が俺の耳に届いた。


「コンコン、すみませーん。ここにオノショータローはいますかー?」


 そこには一人の小柄な女の子が立っていた。いや、ってかノックのタイミングが明らかに違いすぎるだろ。


『おい、これはやばいことになった。コイツらはヤバい逃げるぞ』


「え?」


「おっと、ここから逃げられるとでも思っているのか?」


 ゆーっくりと声の下方向を向くと、俺の背後に身長二メートルはあろうかという大男が立っていた。あ、あれ? もしかしなくてもまたもや詰んだ?

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