バブみ道日丿宮組

お題:光の抜け毛 制限時間:15分

 やはり、寿司か。

 夕方彼女がやってきた。

 当たり前だが、夕飯は寿司ではない。

 彼女の口癖のようなものだ。なんでも自分がいないときに親が寿司を食べてたのが気に食わないので、たびたび口にするという嫌がらせを思いついたとのことだ。

 関係ないところでやられると、違った意味でダメージを負うような気もするが気にしてはいけないのかもしれない。

 おふくろがご飯を準備しはじめたので彼女は手伝いに走った。両親ともに出張が多いので、ほとんど家で過ごしてる。つまりは家族ぐるみの付き合いというやつだ。

 僕はといえば、居場所がないので自分の部屋に戻る。

 ご飯になれば彼女が呼びに来るだろうしとベッドに横たわる。

 いったいどちらが娘なのかわからない。

 ほんとそれなと、自虐的になる。

 家事ぐらい手伝えばいいのと誰しもが思うかもしれないが、僕にはその才能はない。よくて食器を割れるというくらいだ。

 頭がかゆかったのでかく。

 かいた指をそっと顔に近づけると、いくつかの抜け毛がくっついてた。

 若い頃はよく抜けるというが、こんなばっさりと抜けるものだろうか。

 気になったので、姿見の前に立った。

 あまり変わってなかった。

 数十本程度じゃ変わらないかもしれない。

 もっとかけば、もっと抜けるんじゃないか。

 そう思ってかいてみたが、抜けなかった。

 馬鹿なことをやってるなとは思いつつも、暇をつぶせるかもと続けて頭をかく。

 次第に頭が痛くなってきた。

 今日のお風呂はもしかしたら、激痛かもしれない。

 でも、血が出るほどかいてない。

 大丈夫かな?

 洗ってくれるのは彼女だし、平気か。

 またベッドに横たわる。

 そういえば、おっとさんは禿げてた。

 僕もそうなるのかな。性別的にはないと思いたい。

 そうして無駄なことを考えてると、次第に睡魔に襲われてそのまま寝てしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る