第4話

しばらくしてピザが届く。あなたはそのピザを受け取って三枝の元に戻る。


三枝「受け取りご苦労様。おー、いい匂いがするわね、早く食べましょう。あ、飲み物はあたしが用意しておいたわ」


 あなたはピザをテーブルに置いて席に着く。三枝もそれに続いて席に着く。


三枝「さ、食べようか。あたしはまずこの海鮮のピザから頂くわね。ん……おいしい! そっちのマルゲリータの味はどう?」


三枝「へえ、そっちのほうもおいしいのね。じゃあさ、一口くれない? あげるのはいいけどそっちの海鮮のピザも食べてみたい? いいわよ、じゃあ交換しましょうか」


 あなたは三枝とお互いのピザの切れ端を交換する。


三枝「それじゃ頂きます。ん……こっちもおいしいわね、今回頼んだ商品はお互い当たりだったみたいね。今度遊んだ時もここに頼むことにしようかしら」


三枝「ねえ……その……今日一日付き合ってくれたお礼がしたいんだけどさ。なにかして欲しいことある? え、膝枕? 一回どんなものか経験してみたかったの? そんなことでいいならあたしは別に構わないわ。じゃあご飯食べ終わったら膝枕してあげる」 


〇リビング


 あなたは三枝に促されるまま、彼女の膝に頭を乗せる。


三枝「ねえ、どう? その……気持ちいい? え? 太ももが柔らかくてとても気持ちいい? ……もう! 恥ずかしくなるようなこと言わないで! こっちも初めてで恥ずかしいんだから。ん? じゃあなんでこんなことをしてくれたのかって? それはね……」


 少し頬を赤らめながらあなたの耳元に顔を近づけて三枝が囁いてくる。


三枝「いつもあなたにお世話になってるからってありきたりな理由じゃ……駄目? だって私好き放題に言いたいこと言ってあなたを振り回してるのに文句の一つも言わないじゃない。それはなんだか一方的な感じがして嫌だったというか……。そんなことはない? 自分も割と好きにさせてもらっているからって……あんたにそう感じたことはないんだけどなあ」


 三枝、手でゆっくりとあなたの頭を撫でる。相変わらず顔はあなたの耳元に寄せたまま。


三枝「どう、こうすると気持ちいい? くすぐったいけど心地いい? よかった、じゃあ続けるね」


 しばらく三枝があなたの頭を撫でる状態が続く。あなたは気持ちよさからだんだん眠たくなってくる。


三枝「あ、ちょっと眠くなってきた? そんなに撫でられるの気持ちよかったの? ふふ、まるで犬とか猫みたいね。でも喜んでくれたのは嬉しいな。まだ続けたほうがいい?」


 頷くあなた。


三枝「オッケー。それじゃしばらく続けるね。あ、でも寝ないでよね。あなた一人寝ると話相手いなくなっちゃうし。どう力加減はこんな感じで大丈夫。ん、問題なしと。ほんと、顔に気持ちが出やすいよね、あんた。いや、だから悪いってことじゃないよ。むしろそうやって素直に感情を見せてくれたほうがやりやすい。あまりそういうのがない人って接した時に喜んでるのか嫌がっているのか分かりにくくてさ。その点、あんたのそういうところは結構助かってるんだよ。今回みたいになにをやったら喜ぶのかこっちも把握できるしさ、凄くコミュニケーションが取りやすいんだよね。これはあんたのいいところの一つだと思うよ」


三枝「え? 他にいいところがないか、答えて欲しい? んんー、そうだな。ああ、さっきも言った通り誰の話でもきちんと聞くところかな。他にはそうだな……んー、ああ、あんたってさ、基本的に人の話を聞くスタンスだけどきちんと意見主張するところは主張するよね。例えばこの前の時とか? え、覚えてない? うわー、すかしたやつだな。ほら二週間前にに遊びにいった時、柄が悪い人間に絡まれてた人がいたじゃない、周りの人達は仕返しされるのが怖く遠巻きに見るだけだったけどあなたは相手に向かっていってさ。まったく怯むことなく対応して相手をのしちゃうんだもん。武術習ってたのは知ってたけどまさかあそこまで強いとは思わなかったなあ。で、警察が来る前に面倒になるから逃げようって言って全力で逃げたじゃん。いやー、なんというか謎のヒーローみたいで格好良かったよ」


三枝「なんというか人助けを誇らないところとかいいなあって。普通そういうことしたら俺は人助けをしたことを自慢したがるのが普通でしょ。え? 困っている人がいたら助ける、人として当然のことだって……ふふ、そういうふうに言えるところが素敵だなって思うわ」


三枝「あー、まだ眠そうにしてる。しょうがないなあ。少し眠ってもいいよ、しばらくしたらあたしが起こしてあげるから」


 そういって三枝はあなたの頭を再び撫で始める。心地よさからだんだん眠気が襲ってきて意識を失う。


三枝「って、寝るの早! まあ、それだけよかったことか。無防備な寝顔さらしちゃって、ふふ」


 三枝、耳元に口を寄せて囁きかける。


三枝「おやすみ、可愛い人」

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