第2話
あなたと三枝は喫茶店を出て道を歩いている。
三枝「それじゃどこに行きたいとか希望はある? 私はどこでもいいけど。ん、この前出来たショッピングモールに行きたい。いろいろな店が出ているみたいだから一回くらいは見ておきたい? ああ、それはあたしも同意見、ちょうど行きたいと思ってたところなのよね。でもあんたから行きたいって言い出すのは意外だったなあ。あんまりそういうの興味ないと思ってた。ま、いいか。ほら行き先が決まったなら早く行こう」
〇ショッピングモール
三枝「着いた、着いた。おー、結構大きいわね。見て回るの大変そうね。さ、時間がもったいないし早く見て回りましょう。のんびりしてたら行きたいって思ってるところにもいけそうにないわ」
そのままあなたの手を引いてショッピングモールの中を連れ回す三枝。ショッピングモール内にある服屋にたどり着く。
三枝「結構可愛い服が揃ってるねえ。いいなあ」
じっと服を見つめる三枝。決して手に取ろうとはしない。どうやら着てみるのをためらっているようだ。その様子を見てあなたは声をかける。
三枝「え? なんで着てみないのかだって? ああ、だってこんな高い服買うお金なんてないし。眺めてるだけで充分だよ。こんな立派で可愛い服あたしに似合わないだろうし。あたしはほら、どっちかっていうとあまり女の子らしい服が似合うタイプじゃないしさ。え? そんなことはない、さっき見ていた服は似合うと思う。欲しいなら買ってあげるって……いやいや! それは駄目よ! あたしあんたになにもしてないのに! なに? このショッピングモールのを見て回るのに付き合ってもらったお礼だって……はあ、もう。あんた昔から一回言い出したら人の話聞かないわよね。だったら遠慮なく買ってもらうとするわよ」
服を選びに戻る三枝。何着か持ってきたようだ。
三枝「んー、どれもいいなあ。ちょっと試着してくるね」
何個か気に入った服を選んで試着室に向かう三枝。あなたはしばらく待つ。
三枝「ねえ、これはどう? 似合ってる?」
試着した服をこちらに見せてくる三枝。着ているのは落ち着いた雰囲気のワンピースで普段の快活な彼女とは違い、清楚で大人びた雰囲気を醸し出している。
三枝「あはは、やっぱりこういう清楚系の服装って似合ってないかな。私、年齢より子供っぽく見られることが多くてさ。たまにはこういう大人びた感じで落ち着いた雰囲気を出したかったんだけどどう? とても似合っている……? ありがとう! じゃああんたが褒めてくれたこの服を買うことににするね」
そのまま会計に向かい服を購入する。戻って来た彼女はとても機嫌がいいようだ。
三枝「いやー、本当にありがとう。こんな服自分だけだとなかなか買う勇気がないからさ。あんたに似合ってるって言ってもらえなかったら買おうって考えもしなかったなあ。それはそうとお金は本当によかったの? 簡単に出せる金額じゃなかったと思うんだけど。え、貯金はまだ余裕あるから大丈夫? うわ、あんた意外と見えないところで頑張ってるのね。お小遣いなりバイト代を貯めてるんだろうけどどれだけあるの? 秘密? えー教えてくれたっていいじゃない、秘密主義者め! まあいいや、それじゃまだ見てないところを見て回りましょう。あ、その前に」
そのまま、あなたに駆け寄り耳元で囁く三枝。
三枝「おごられるのは当たり前に思っていない前提で聞いてね。さっきの君はかっこよかったぞ、似合ってるて褒めてくれて凄く嬉しかった」
そのままあなたから離れ、先を歩く三枝。恥ずかしさから立ち止まるあなた。
「ほら、なにしてるの。早く行くわよー!」
三枝に呼びかけられあなたは彼女を追いかけて歩きだす。
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