からかい好きの幼馴染は甘えたい
司馬波 風太郎
第1話
〇おしゃれな雰囲気の喫茶店
あなたが一人でコーヒーとデザートを頼んでくつろいでいるとカラン、コロンと入り口についたベルの音が鳴り響く。あなたは入ってきた相手と目が合った。相手もこちらに気づいて近づいてくる。
三枝「あ、こんなところで会うなんて。あんた、こんなところでなにしてるの?」
声をかけられたあなたは改めて声の主を確認する。声の主は三枝
三枝「耳にイヤホンなんかつけて何の曲を聞いているのかしら。あ、あんたもこの曲を聞いてたんだ。いいよね! この曲、なんか元気が出るっていうかさ、勇気を貰えるっていうかさ」
そのままあなたの横に座ってくる三枝。
三枝「あー、あたしものど渇いたなー。なにか頼むか」
メニュー表を見ながら楽しそうに鼻歌を口ずさむ三枝。非常に機嫌がいい。
三枝「んー……あたしはこの紅茶にしよう。あ、あとついでにショートケーキもお願いします」
店員は注文を受けてテーブルから去る。こちらに向き直る三枝。
三枝「さて注文も済んだし、あんたと話でもしますか。ていうかあんた、もしかしてあの曲聞いてたってことはさ、あの曲が主題歌になってるゲームもやってたりする? 嘘、やってるんだ! あたし以外にやってる人いなかったんだよねー」
三枝「やっぱりさあのシーンは盛り上がるよね~。ヒロインに背中を押された主人公が最後の戦いに挑んでいくところはベタだったけど胸が熱くなる展開だったなあ。他には今なにかやってるの? あ! この前でたあの格ゲーもう買ってるんだ。いいなあ、あたしもあのゲームやりたいんだけど他のゲームやってるからまだ買えてないんだよね」
三枝「おっ、話込んでたら頼んでた紅茶とケーキが来た。じゃあいただきまーす」
ケーキにフォークを刺して切り分ける三枝。そのまま口に運び、満面の笑顔で頬張る。
三枝「うーん、おいしい! ここ初めてきたけど、なかなかいいお店ね!」
そのままケーキを口に運んでいく。こちらがそんな彼女の様子を眺めていると彼女と視線が合う。こちらを見て三枝はいたずらっぽい笑みを浮かべる。そして切り分けたケーキの欠片をフォークの先に突き刺してこちらの口の中に突っ込んでくる。
三枝「えい」
突然の出来事にとまどうあなた。あなたの戸惑った様子を見て三枝は楽しそうに微笑む。
三枝「ふふ、びっくりした? ちょっと驚かせたくなっちゃって。あ、味はどう? おいしい」
頷くあなた。
三枝「それはよかった。まああたしが頑張ったんじゃなくて店の人がこのケーキ作るの頑張ったんだけどね」
笑いながらあなたに身を寄せてくる三枝。そのまま耳元に口を寄せ、小さな声で囁く。
三枝「間接キスになっちゃったね。あ、照れてる? あんたって結構初々しいところあるわよね。結構異性からの評判もいいし、学校でも問題なくコミュニケーションが取れてるのに。なんでこんなことで照れてるんだか。まあ、あたしとしてはあんたをからかうことが出来たから満足なんだけどさ」
にっこりと天使のような笑みを浮かべる三枝。あなたは恥ずかしがって顔を真っ赤にする。
三枝「あはは、顔が真っ赤じゃない、あんた本当にこういうからかい苦手よね。ていうかさせっかくだしこの後、どこか一緒に行く? あ、もちろんあんたがよければだけど。あ、頷いたってことはオッケーってことでいい? よっし、それじゃ行こうか」
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