幕間 (第一章キャラクター紹介含む)
《なるほどな~。俺っちが出てくるまでにそんなことがあったのか。ふむふむ。》
俺が話し終えると、ネビュラスが感想の声を上げた。
「まあな。……ネビュラス、さっきから気になってたんだが、一人称が俺っちってのは何なんだ?」
《ん?ああ、今のブームだ。なんとなく俺っちって言いたかった。》
「ふーん。そうか。」
俺はネビュラスの返事をなんとなく理解した。
――まあ、そういうときもあるか。
《相棒。そんなことよりも、重大な問題が一つ残ったままだ。これが明らかにならないと、俺達はとんでもなく後悔することになる。》
とても重大な問題なのか、ネビュラスの声はかなり真剣な様子が窺えた。
「……。そんなにヤバイのか?」
《……ああ。》
俺は唾を飲み込みネビュラスの言葉を待った。
《アリスちゃんの正体が何者かわかっていない!!》
「いや、お前、触れちゃいけないってさっき言ってなかった!?」
俺はネビュラスのボケにツッコミを入れてしまった。
《いや、気になるだろ。ふつう。……相棒。あの爺さんの事だ。おいらは、旧世界のどこかにアリスちゃんがいると睨んでるぜい。》
ネビュラスが探偵のような声の調子で推理を披露した。
「あ、うん。そうだな。」
――また、一人称が変わってる。こいつ、いつもふざけてるよな。ホント大丈夫かな。めちゃくちゃ不安なんですけど。
俺が不安に思っていると思考を読んだネビュラスが返事をした。
《皆さん、安心なさって下せぇ。某に任せれば、この事件は、ちょちょいのちょいっと解決してご覧に見せてくれりゃんべ。……っていうことで、アリスちゃんの捜索も旅の目的の一つだからな。》
「……。なんか、ゼリオス様に申し訳ない気がしてきた。気にはなるけど、積極的に探すのは、なんか違うかな。……まあ、出会ったらだな。」
《まあ、それで良しとしておくか。》
俺の渋る様子にネビュラスは、それ以上追及するのはやめたようだった。
草原を見渡しているとと遠くから、ピーヒョロというような鳥の鳴き声が聞こえた気がした。
《なあ、相棒。まだ時間があるなら、相棒が出会った人物について教えてくれないか?特徴とか話してくれると助かるんだが。》
ネビュラスが真面目な口調で話しかけてきた。
「ん?まあ、いいけど。……紙もあるから、それに書き出してみるか。」
俺はネビュラスの要望に応えるべく、先程の旧世界の資料を裏紙にして、書き出し始める。
◇
ゼリオス様
異世界の神。見た目は賢者風のおじいさん。長い白髪をオールバックにし、銀縁の丸眼鏡をかけている。服装はゆったりとしたローブ姿。ローブの中はシャツにズボン。イメージカラーは白・銀。魔法を使うときの魔力や魔方陣の色はオレンジ。得意なことは、何でも?性格は優しい。怒るときは怒る。まだ謎が多い。たぶん、スケベ。でもやっぱり良い人。
カナタ
俺の従者。出自は不明。見た目は魔法使いの女性。落ち着いた大人のお姉さんの雰囲気。濃いめの紫色の髪。ウェーブがかかった髪は肩くらいまである。服の色は全体的に黒で紫の縦のラインが入っている。肌の露出は少なめでスカート丈は膝下くらい。黒のタイツを履いている。イメージカラーは紫・黒。魔法を使うときの魔力や魔方陣の色は紫。得意なことは、家事全般。魔法も結構使える?性格は穏やか。大人のお姉さんの雰囲気に反して、明るく子供っぽい反応が多い。着痩せする巨乳。自分の事を犠牲にしてでも人のために尽くすほど慈愛に満ちた人。
トーマス
ゼリオス様の臣下。元親衛隊隊長。見た目はイギリス紳士風の中年執事。グレーの髪はしっかりと固められている。服装は基本グレーの執事服だが、場面場面で適した服装をしているらしい。イメージカラーはグレー。魔法を使うときの魔力や魔方陣の色は、まだ見たことがないから不明。得意なことは料理、戦闘。新世界の開拓をしている人の中でも一番強いが何かを隠している印象。スマートが口癖。言葉遣いはたまにおかしい。性格はジェントルマンっぽいけど、変態という単語は禁句。基本的に優しく、気遣いもできるが残念キャラ感もある面白い人。
ミランダさん
服の神。見た目は虹色ミラーボールの派手な人。二メートルの巨漢、虹色のアフロヘアー、こんがり焼けた褐色の毛がないスベスベな肌。ピチピチのホットパンツにサスペンダーで細マッチョなボディーを見せびらかすような服装をしている。金色の翼のコスチュームを背負ったりする。イメージカラーは虹色。魔法関連の色は虹色?得意なことは服飾関連。口調はオカマっぽい。ゼリオス様の事をパパと慕うが実の息子ではない。いきなり来て、いきなり帰ったから、まだ謎が多い。
ファードン
ドワーフの神。見た目はチンピラ熊。熊のような大柄の体、見た目の年齢は四十代から五十代。髪は赤みがかかった茶色、ボサボサの長髪を後ろで結わいている。服装は歴戦の戦士風の革製の装備品。イメージカラーは赤・茶色。魔法関連の色は赤。得意なことは物作りで鍛冶や彫刻の腕はピカイチ。性格は大雑把で粗暴な印象を受けるが、意外と思慮深く義理堅い人情に厚い漢。笑い声が大きくうるさかったり、勝手な行動をしたり、カッコ良さを求めたりと誤解されるような行動をとることもしばしば。
サイジリアス
ゼリオス様の臣下。元神官長。開拓・開発の指揮をとっている人。見た目は人柄の良さそうなおじさん。五十代くらいに見える。髪は白髪が混じったブラウンの短髪。服装も普通の格好でシャツにズボン。真面目そうな人。古典か社会科の先生っぽい。おそらく催眠術が使える。後はあまり知らない。
ドリアス
サイジリアスさんの息子。資材班で木材調達をしている。顔つきは父のサイジリアスに似ていて優しそう。見た目は二十代。細身だが筋肉質な体型。頭にはバンダナのような黒い布を巻いていて、バンダナの端からはブラウンの髪が見える。服装は探検家っぽい動きやすそうな格好。語尾が「っす」。後はあまり知らない。
ガルア
俺のペット?火竜。全長30メートルもある深紅の大きな竜。大きな翼、強靭な四肢、長い尻尾。大きさを自由に変えられるようで、豆柴くらいのサイズまで小さくなることが出来る。小型になった際には、デフォルメされたような体型、短い手足、小さい翼のずんぐりむっくりチビドラゴンになる。小さい翼だが、軽く翼を動かすだけで宙に浮くようにゆっくりと空中を移動できる。竜の生態は謎に包まれているそうで、ゼリオス様も詳しくは知らないとのこと。一応、イメージカラーは深紅。得意なことは食べること、寝ること、暴れること?性格はわんぱく。一応、大人の竜らしいけど、子供っぽい動きが多い気がする。
ネビュラス
正体不明の謎の声。俺の魂の精神世界に存在している?俺の魔力覚醒と共に現れた。現在の体はぬいぐるみ。全体的に蝙蝠伯爵のような格好。小さい帽子を被り、二本の黒い角と大きな黒い耳、全体的に蝙蝠のような顔立ち、ピンクのフェルトの豚っ鼻に、ボタンで出来た赤と青の目。格式高そうなマントも羽織ったタキシードの服装。三頭身程の体型で短めの手足。腰からはスラリと長い尻尾が生え、先端は三叉に分かれ尖っている。性格は、お調子者。記憶喪失らしく、過去の事は覚えていない。だが、魔法の知識とかはあるらしい。まだ、謎が多い。
ハルカ
俺。前世での名前は里中遥。事故で異世界に来た。ゼリオス様と出会い、体を与えられた。銀髪で赤い瞳の少女。胸まである長めのストレートヘアー。十五歳くらいの見た目。良家のお嬢様風。服装は白いワンピースだったが、ミランダさんに色々もらった。最近の普段着は、ドレスっぽいフリルがついた青色のトップスに白いコートを羽織り、白いミニスカートを履いている。前世では、とあるネズミの王国のパレードとかで良く見かける服装。俺個人の好きな色は黒・赤・金。今のイメージカラーは、白・青・銀。性格は
《ちょいちょい!そこまでっ!相棒の事は教えてくれなくても良いからっ!》
俺が紙に書き出していると、ネビュラスから「待った!」の声が入った。
「んー、そうかぁ?この機会に状況を整理するためにも必要かと思ったんだけど。」
《いや、相棒の性格はなんとなくわかるから、もういい。それに自分で書いてて恥ずかしくないのか?俺にはそんな勇気は無いね。》
ネビュラスが散々なことを言ってくる。
「いや、まあね。……別にお前以外に見せるわけじゃないから良いだろ。」
俺は少し恥ずかしくなり、紙の束をしまう。
《……相棒。……後で俺のところ、もう少し良い感じに書き変えておいてくれるか?性格はイケメンで謎が多いところがステキ。とか。正体は不明だがきっとイカしたメンズに違いない。とか。前世は勇者で世界を救った英雄に違いない。とか。》
ネビュラスがおかしなことを言ってきたので、俺はテキトーにスルーすることにした。
「あ、うん。わかったよ。」
――こいつ、本当にバカだな~。俺も大概かもしれないけど、さっき自分で言ってたことが返って来ているの気づいてるのかな?俺以上に恥ずかしいぞ。
《相棒。それわざとだよね?心の中の声が聞こえてるの知ってるよね?相棒こそバカじゃないの?》
俺の心を読んだネビュラスが反論してきた。
「あんっ!てめえ!やんのかっ!」
《おっ!やってやろうじゃねえかっ!この際だ、どっちが上かハッキリさせようじゃねえか。》
ネビュラスと一触即発の空気感になる。
「主様〜!お待たせ致しました〜。」
遠くの方からカナタの声が聞こえた。
声のする方を見ると、カナタがガルアを抱えてこちらへと走ってきていた。
後ろには、ゼリオス様やファードン、トーマスさんの姿があり、その更に後ろにはオレンジ色の転移門が見える。
「ふぅ、やっと来たか。」
《さて、ケンカごっこは止めにするか。》
「ああ。そうだな。さて、お前も騒ぎたいだろ?ほらよっ。」
俺はネビュラスの現在の本体であるネビュ君ことぬいぐるみを取り出した。
《わかってるねー。相棒。》
ぬいぐるみが動き出し、サムズアップしてきた。
「あー!ネビュ君!主様、連れてきちゃったんですか?仕方ないですね〜。」
ネビュ君を見つけたカナタが仕方ないと言いながらもとても嬉しそうだった。
「では、皆さま。イッツスマート!!」
パチンッ
合流したトーマスさんが指を鳴らすと、草原にテーブルや椅子、レジャーシートが現れた。
テーブルの上には、既にサンドイッチやフルーツ、ティーセットが置かれていた。
カナタはガルアを下ろすと、テーブルで何やら準備を始めた。
「おい、トーマス。酒が見当たらないぞ。」
テーブルの上に酒が無いのを見たファードンがトーマスさんに酒の催促をしている。
「ファードン。お主は、こんな天気の良い日に昼間から酒を飲む気か?」
ゼリオス様が苦笑いしながら、ファードンに注意をしている。
「そう堅いこと言うなよー。今日は全員揃って、ようやく宴会が出来るってのに、酒が無いんじゃ楽しさも半減だぜ。今日くらい良いだろ?」
ファードンがゼリオス様に無礼講だと言って、酒の許可を求めた。
「まあ、そうじゃな。今日はハルカ達の歓迎会でもあるからのぅ。少しだけじゃぞ。」
「がっはっは!そうこなくちゃな。トーマス!酒をありったけ出してくれ!」
ゼリオス様が許可を出すと、ファードンが大きな声で喜び始めた。
パチンッ
トーマスさんが指をならすと、新たに酒が乗ったテーブルが現れた。
グビグビ
はぐはぐっ もぐもぐ
「これっ!ファードン!宴の開会の挨拶も無しに飲み始めるやつがあるか。」
一連の様子を見ていたが、気づいたらファードンは酒を飲み始めていた。
「ぶはー。ああー。……それを言うなら、こいつらにも言ってやってくれよ。」
ファードンがおっさんのような声を出しながら、サンドイッチが乗ったテーブルの上を指差した。
そこには、大人しくしていると思われた二匹がサンドイッチを頬張っている姿があった。
「ガルアちゃん!ネビュ君まで!」
がうっ!
グッ!
カナタが二匹の名前を呼ぶと、ガルアは元気に返事をし、ネビュラスは親指っぽいものを立ててサムズアップしてきた。
――ああー。なんかすごく賑やかだなー。自由奔放というか。
俺がみんなの様子を達観して見ていると、
「ハルカ。お主もこっちに来るんじゃ。サンドイッチがなくなってしまうぞ。」
「ハルカ様。アップルパイはいかがですかな?とってもスイート!ですよ。」
「がっはっは!おい!そこのちんちくりん!こっちに来て一緒に酒飲むぞ!」
きゅるあー!
もぐもぐ グビグビ
「主様ー!ケーキを焼いてみたんです。ええと、蝋燭を立てるんでしたっけ?」
みんなから名前を呼ばれた。
――前世では、こんな風に騒ぐことは、あまりなかったな。……仲の良い友人はいたけれど。どこか壁を作ってたのかな。……俺の夢?…………世界最強?…………とりあえず今は、この光景を大事にしたい……かな。…………夢はまだじっくり考えるよ。神だとか、魔王だとか、お嫁さん?まあ家庭を持つっていう選択肢もあるのかもね。
この日の宴は夜まで続き、新世界では笑い声が木霊していた。
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