ブリッジ;間奏 

 強い風が収まると、俺たちは荒野に立っていた。そして、いつの間にか太陽が昇りかけている。


「はぁ、くたびれたわ。おい、あたしをおぶりなさい」

 少女は、さも当然のように俺に手をさし出す。真面目に言ってるのか?ソレ?というかどこに行けばいいんだ?

「は?そんなのどこだっていいわよ。あたしとあなたがいるんだから。……まあいいわ。とりあえずあの太陽の方へ向かって行きましょう」

 そう言って俺の背後に回り、しがみついてくる。

「・・・どうしたの?行きなさいよ」

「そう言われても。足が…」

「え?動かないの?・・・てことはあんた、昨日からずーっと突っ立ってたの?」

 どうもそうらしい。意識してなかったが。

 彼女はそれを知るとキャハハ、と笑い、ひとしきり笑った後、俺に命令を下す。

「いいわよ、歩いて。あの太陽の方角へ!」

「わかったよ、ミコ」

 俺が答えると、彼女は不思議そうに聞く。

「なによそのミコ、ってのは?」

「神官?だったかが君のことをそう呼んでいただろう。ミコさま、と」

「…あー、なるほどね。まあいいわ。呼び方なんて好きにして。けど、アクセントは1文字目に置きなさい。その方が、可愛いあたしに合ってるから」

「…わかったよ、ミコ。」


 俺は再びそう言って、彼女を背中に乗せ、太陽に向かって一歩ずつ歩き始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る