第16話錆び
業者は軽トラで乗り付けてきてくれたので、ほとんどの不用品を運んでくれた。
こちらが予定していたよりも安価に済んだこともあり、肩の荷がひとつおりる。
冷蔵庫などは明日の引き取りとなった。それでも、軽トラで済んでしまう。
「家具も少なすぎだったな」
親父も淡々と日々を生きることだけをこなしていたのだろう。それにはできるかぎり物のないほうが身軽だ。
その薄さがかなしかった。きっとお袋や妹がいたら、もっとちがった人生だっただろうに。そしてそれは、僕もそうだ。
ばぁちゃんが来てから、そんな、考えてもどうしようもないことを考える。頼れるからだ。寄りかかれるからだ。ばぁちゃんは、あとちょっとしかこっちにいられないのにこんなことでどうする。
僕の内部はどうしようもなく錆びている。ぼろぼろと風化しているのをみないふりしていた。だって、気づいたら。気がついても手のほどこしかたが、わからない。
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