第14話幽暗
忌引の休暇とはいえ、まとまった休みだ。夜更かししてゲームするとか見たかった映画をみるとかと思うのに、規則正しく就寝してしまうクソまじめな自分が憎い。
何時だろう。ふと目が覚めた。
家にひとりでいるのが普通だから、人の気配に慣れていない。はっとして、誰だ? と思ったら、ばぁちゃんがちんまりと正座していて安堵する。部屋は暗闇のはずが、ばぁちゃんのまわりだけうすぼんやりとした幽暗になっている。あぁそうか、と眠い頭で納得した。
「ばぁちゃん、眠れないの」
ばぁちゃんはいいや、と首を横にした。
「ゆうちゃんこそ起きちゃったの」
「蒸し暑いからかな」
昼間が暑かったから、部屋がムシムシしている。タイマーが切れてどのくらいか。時計をみるのはやめた。エアコンをつけて水を飲む。
「ばぁちゃん子守歌うたおうか」
「赤ん坊じゃないよ」
さすがに子守歌は、さすがに。ばぁちゃんはそうか、と小さく笑った。
「おやすみ、ゆうちゃん」
ばぁちゃんが、低い声でうたっている。
なんの曲かわからないし、そもそも曲ではないかもしれない。葉が風でこすれる音のような、虫の音色のようなかんじもする、不思議な音だった。
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