第5話



 「好きは好き。それ以上でもそれ以下でもない」


 「は??どういうこと…?」



 あーもう、めんどくさい。


 いっそズルをして、適当に済ましてしまえばいいかとも思うが、この前怒られたんだ。


 ちゃんとしないと、あの世からもこの世からも見放されますよ?


 って。



 なんだよ「この世」って…


 大体私は死んだんでしょ?


 ということはつまり、あの世にしか行けないわけで。



 「付き合ってくれる?」



 単刀直入に聞くのがいい。


 そうすれば、ひとまず仕事は終えたことになる。


 オーケーはもらえない。


 それはわかっているが、三途の川でアイツ(死神のこと)に怒られなくて済む。




 「えっと…」



 彼は目に見えて困っていた。


 デジャブすぎる映像だ。


 最初のうちは期待してる部分もあった。


 が、数百回もこの表情を見るたびに、どうでも良くなってきた。


 だから今日もなんとも思わない。


 ハッキリとした返事を待たず、階段を降りてテニスコートに向かった。



 さ、部活だ部活。


 あんなヤツ放っておいて、ひと汗かくぞー!!

 

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