7話 栄転

 ☆☆☆

 翌日の土曜日。


「話したいことはね、君は来月から東京秋葉原所属になってもらう」

「ちょっ……遠くないですか?」

「一応,出世ってことになるのだよ。

 往復の交通費は出るし、2~5時間の間の勤務ということにさせてほしい。

 もちろんテスト期間の調整もしよう。

 まああまり稼ぎすぎても困るようだし」


 有難すぎる条件だ。

 遠くなったとしてもぼろぼろに疲れることはないだろう。


「確かにそうですが」

「こうなった経緯だが、君たち親子は有能でね。

 店舗収益が1.5倍になっているのだ」


「はぁ」


 いまいち業績云々がわからないが、

 オヤジも頑張っていることが評価された結果のようだ。


「ちなみに君の親父さんは、

 来月からここ執事カフェの副店長になってもらう」


 オヤジは塾講師兼アルバイトだったはず。


「え?」


 よほど待遇がよかったのだろうか。


「君にはアルバイトではない社員見習いとしての登用だ。

 時給は1780円。

 まぁ高校生だから待遇はアルバイトと思ってもらっていい。

 親子で同じ店舗はちょっと遠慮してもらいたくってね」


 契約書類を見てみると、秋葉原本部となっている。

「本部?」

「そうだ。君は将来性があるから本部への移動だ。

 来年になったら存分に発揮してくれたまえ」


 どさりと渡された資料は会社所属に関するもの。

 重要と書かれている資料もある。

「これは?」

「君は基本は出来ているけれども一応、

 社会人としてのたしなみを覚えておくといい。

 来年役に立つだろう」


 これを持って帰るのかとげっそりする。


(まぁ、厚意っぽし有難く持って借りますか)


「僕のことは承知いたしました。

 父はご迷惑おかけしていないでしょうか?」

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