13話イケメンからの論破

「じゃそんなバイトとすんなよ」

「論破されたっ」

「これ、物理のノート、どうせ最後まで写せてないんだろ?」

 最近、学校の女子に追いかけられている。

 授業最後のほう、ノートを丁寧にとっている。


 鐘の鳴った瞬間に写真撮られて質問攻めだ。

 女子ファン回避のためになるべく逃げている。

「助かる。昨日の授業の奴、最後のとれなかったんだよ」

「で、オヤジさんも同じ仕事してんだろ?」

 イケメン親友には事情を話してある。

 2年になったら周りに隠せなくなるかもしれないと思ったからだ。

 時間的な余裕がなくなるだろうし。

「フツメンなお前だと実感ないだろうが、

 個人情報は信頼できる奴にしか教えんなよ」


「女性の扱いにたけている男は言うこと違うねぇ」


「憧れた女子って見境なくなることもあるじゃん。

 オレはケー番3回売られているから」


「さすがイケメン。だからメアドも変更多いのか」


「流出先は特定難しいもんだぜ。

 人間不信にもなりたくなるぜ」


「オヤジさんにもSNS関係の使い方教えといてやれよ」

「りょーかい」


 ☆☆

 久しぶりにオヤジと時間が取れそうだ。

 電話してみたが、設定が分からないということで

 両親のスマホの設定をこと細かくしてやる。


 なぜだか親父のフォルダには母さんしかいない。

 ――仲が良いことは何よりだが、

 アイドル仕様の母を見るのは変な気分になる。


 母は一般人なのだが、美容系が好きなようだ。

「そんなに人気があるものなんだなぁ。時代の移り変わりを感じる」

「かぁさんもわかったわ。おとうさんを全力で守るわ」

「……息子の心配も多少はしてくれ」

「あなたはこれからですもの。自衛、頑張りなさい。

 自宅特定はされないようにしてね」


「にしても我が子がアイドルみたいになっていくなんて夢のようだわ。

 頑張ってね」

 非常にうれしそうである。

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