2話 執事カフェとは

「ほら、祐もいうの」

「お、お帰りなさいませ。お嬢様」

 とりあえず5時間お嬢様に帰宅のあいさつをした。


「これるとき、丸つけて」

 渡されたのはシフト表。

「イヤイヤイヤ。オレ、学生ですし」

「もちろんテスト前は配慮するよ」


(つーかうちの学校ってバイトオッケーだっけ?)

「ちょっと確認してみないとわかりません」

「明日教えてよ」


 まさか明日も会うわけがないとおもってうなずいた。


 帰宅後、母に確認をとるとあっさり。


「校則が問題ないならいいわよ。ただしテストの点数は赤点取らないようにね」


 翌日、高校の担任に話してみた。


「校則的には問題ないな。親御さんには許可とれよ」


 親と担当教諭に確認して一安心。まぁ会う気もないわけだけど。


 一応、別の道で一番遠回りの帰り道になるように帰路に就こうとしたわけだが。

「お兄さん、待っていましたよ」


 呼び止められた。外国人の兄さんに。

 やはり顔も押えられているようだ。

 今日もやはり

「お帰りなさいませ。お嬢さま」

 これである。


 ヨーロッパ的な外観は嫌いではないが、

いかんせんこの挨拶にはなれない。


「てか、いやだ」

「ここに〇つけてね」

「……マジですか」


「あなた、将来有望ね。

もっと明るく接客してほしいね」


「あ、はい」


 とりあえず週2から入ることになった。


「時給は1600円だから気合入れて接客して」


「高くないですか?」


「若さが売りの商売だから高校生こそ高いのね。

成人すると最低賃金だから心して」


 シビアな金額設定である。

そして写真を撮られた。


「一応指名制というか顔を覚えてもらうことも必要だから。

うちの制服着て写真撮って。

名前は本名でなくていいから」


 なんかホストみたいな設定になってきた。


「じゃあ悠斗ってことで」


「髪もきちんとワックス使って整えて、ひげはもちろん駄目ね」

「ハイ」

 一応接客練習ということでなれないながらも

接客することになった。


「お帰りなさいませお嬢様。外は暑かったですか? 

それではメニューをおもちいたしますね」


 コーヒーカフェオレ、紅茶、ロイヤルミルクティー。

 チョコケーキ、ショートケーキセットなど王道のメニューが並ぶ。


 一連の流れは一般の感覚からいうと恥ずかしい。

 しかし3回4回復唱していくと慣れてきた。

 (人間の慣れって怖いな)

 そしてドリンクや軽食を頼み終わり、会計になる。


 その後は「またのご帰宅をお待ちしております。お嬢様」で終わる。


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