15 大人の贅沢
サウナ状態の屋根裏から一時撤退し、窓全開のリビングで扇風機の風を浴びる。
「駄目だ、日中に上がるもんじゃない……」
屋根裏収納に詰め込まれていたのは、衣類やスーツケース、レコードやビデオテープなどの雑貨、そして小型家具や電気機器の類だった。
「なんでカセットデッキが三つもあるんだ……」
おそらくは壊れるたびに買いなおし、処分せずに屋根裏に放置していたのだろうけれど、書斎の整理をする余裕があったのなら、先にこっちを処分してほしかった。
「あああ暑い!」
口を開けば「あつい」の三文字しか出てこないこの状況を打破するべく、キッチンへ向かう。
冷蔵庫には、昨日マスターからもらった缶ビール。自分では発泡酒しか買わないから、ちゃんとしたビールは久しぶりだ。
そのまま飲んでもよかったが、ふと思い立って、食器棚からアルミのタンブラーを取り出した。
よく冷えたビールをなみなみと注げば、きめ細かい泡が溢れる。
まるでCMみたいだな、なんて思いながら、台拭き片手に、最高の一杯を味わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます