15 大人の贅沢

 サウナ状態の屋根裏から一時撤退し、窓全開のリビングで扇風機の風を浴びる。

「駄目だ、日中に上がるもんじゃない……」

 屋根裏収納に詰め込まれていたのは、衣類やスーツケース、レコードやビデオテープなどの雑貨、そして小型家具や電気機器の類だった。

「なんでカセットデッキが三つもあるんだ……」

 おそらくは壊れるたびに買いなおし、処分せずに屋根裏に放置していたのだろうけれど、書斎の整理をする余裕があったのなら、先にこっちを処分してほしかった。

「あああ暑い!」

 口を開けば「あつい」の三文字しか出てこないこの状況を打破するべく、キッチンへ向かう。

 冷蔵庫には、昨日マスターからもらった缶ビール。自分では発泡酒しか買わないから、ちゃんとしたビールは久しぶりだ。

 そのまま飲んでもよかったが、ふと思い立って、食器棚からアルミのタンブラーを取り出した。

 よく冷えたビールをなみなみと注げば、きめ細かい泡が溢れる。

 まるでCMみたいだな、なんて思いながら、台拭き片手に、最高の一杯を味わった。

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