12 西瓜
夏祭の手伝いのお礼にと、西瓜をもらってしまった。
しかも丸ごと一個。一人で食べるにはあまりにも多すぎる上に、大きすぎて冷蔵庫に入らない。
「だからってお風呂に浮かべなくても」
「だって、切り分けても冷蔵庫に入り切るような量じゃないし、もう完全に熟れてるから早めに食べてって言われたからさ」
苦肉の策が功を奏したようで、半日ほど水風呂に浸かった西瓜は程よく冷えてくれた。
どう頑張っても一度に食べられるのは四分の一ほどだ。残りは、半分ほどをシャーベットに加工することにして、あとは明日の朝食用に取っておく。
「へえ、シャーベットに出来るんだ」
開きっぱなしだったレシピサイトを覗き込むシロ。今はなんでもネットで調べられるから便利だ。
「簡単だし、これなら保存しておけるから」
西瓜の皮部分を漬物にしたり、果汁を搾ってジャムにするようなこともできるらしいが、さすがにそこまでの手間は掛けられない。
「あれやらないの、種を飛ばすやつ」
上手く行けば、庭で西瓜が採れるかもよ、なんてシロは笑うけれど。
その西瓜が育つ頃、きっとここに俺はいない。
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