第17話 16週目

 俺は軽い足取りで病院まで行った。腕の診察のことを忘れそうなくらい、頭は広崎さんでいっぱいだった。病室に入ると、今日の彼女はお昼のバラエティ番組を見ていた。

「見てください陽介さん。今、私の大好きな企画やっているんです」

 俺がテレビを覗くと、芸人が視聴者から集めた『あるある』を紹介する企画であった。今日のテーマはどうやら『病院』らしい。

「♪~ドラマなら可愛い看護師ばかりでも、実際はおばちゃんばかり~♪」

 そう聞こえてきて、いつもいるおばちゃん看護師の顔が浮かび、俺は吹き出しそうになった。彼女はお腹を抱えてケタケタと笑っていた。彼女の笑う姿を見ていると、いつもここが病院であることを忘れてしまう。彼女が笑うとふわっと周りが明るくなる。

「はぁお腹痛い」

 彼女はその企画が終わるまでずっと笑い続けていた。

 企画が終わると、彼女が思い出し笑いをする以外は静かな病室となった。静かなのがむずがゆくって、俺はつい気になっていることを口にしてしまった。

「どうして、点滴の量増やしたりなんてしたんですか」

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