第17話 16週目
俺は軽い足取りで病院まで行った。腕の診察のことを忘れそうなくらい、頭は広崎さんでいっぱいだった。病室に入ると、今日の彼女はお昼のバラエティ番組を見ていた。
「見てください陽介さん。今、私の大好きな企画やっているんです」
俺がテレビを覗くと、芸人が視聴者から集めた『あるある』を紹介する企画であった。今日のテーマはどうやら『病院』らしい。
「♪~ドラマなら可愛い看護師ばかりでも、実際はおばちゃんばかり~♪」
そう聞こえてきて、いつもいるおばちゃん看護師の顔が浮かび、俺は吹き出しそうになった。彼女はお腹を抱えてケタケタと笑っていた。彼女の笑う姿を見ていると、いつもここが病院であることを忘れてしまう。彼女が笑うとふわっと周りが明るくなる。
「はぁお腹痛い」
彼女はその企画が終わるまでずっと笑い続けていた。
企画が終わると、彼女が思い出し笑いをする以外は静かな病室となった。静かなのがむずがゆくって、俺はつい気になっていることを口にしてしまった。
「どうして、点滴の量増やしたりなんてしたんですか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます