16

 それから数日経っても、ミカさんは毎日のように来てくれました。

 私がこの研究所に残ると伝えると、「だったら、私が研究所に行くわ!」と言ってくれたのです。


 そんな、とある日のことでした。


「こんにちは!調子はどう?」


『ミカさん……!はい、私は普段通り元気ですよ』


 私がそう答えると、ミカさんは安心したように笑いました。


「ふーん、ならよかった!……そういえばさ!今日は何の日か知ってる!?」


『いえ……。何の日ですか?』


 私が尋ねると、ミカさんは得意そうに答えました。


「あなたの誕生日よ!忘れちゃったの……?」


 ……そうでした。今日は私の16年目の誕生日でした。

 私に心が宿ってから、もう1年が経ったのですね……。


 私がぼんやりしていると、ミカさんはこう言いました。


「ほら、プレゼントがあるから!ちょっと待っていてちょうだい!」


 彼女は急いでどこかに行ってしまいました。



 ……数分後、戻ってきたミカさんの両手には、大きな箱が抱えられています。


「はい、これ!開けてみて!!」


 私は言われた通りに、その中身を取り出しました。……中に入っていたものは、『服』のようでした。


「これ、誕生日のお祝いにと思って……。あなた、いつも同じ服なんだもの……。だから私が、あなたに似合うと思ったものを選んだのよ!」


『ありがとうございます……。早速着てもいいですか?』


「ええ、どうぞ」



 私は服を着替えました。すると、ミカさんが「おおっ」と言いました。


「やっぱり思ったとおりだわ!!すごく可愛くなったじゃない!!」


『そう……ですか……』


 私はなんだか照れくさくて、俯いてしまいました。


「ねぇ、鏡で見てみた?」


『はい……。自分だとよくわからないのですが……』


「そんなことないわよ!絶対かわいいわ!自信持っていいのよ!……そうだ!せっかくだし、写真撮りましょう!記念撮影よ!」


 彼女は矢継ぎ早に言うと、私の肩に手を置きました。そして、カメラに向かってピースサインをしました。



「はい、チーズ!……撮れたわよ!見る?」


『はい……。見せてください』


 彼女が撮った画像を見ると、私はまだぎこちなく笑っていました。でも、それでも嬉しかったんです。


「あははっ、まだ固い笑顔ね〜。でも、いい笑顔してると思わない?……いつか、自然に笑えるようになると良いわね」


『はい……っ!!』


 私は、とても幸せでした……!

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